マツモ

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三陸地方の市場で「海藻の王様」として扱われ、時には肉や魚以上の高値で取引される最高級の海藻マツモ。その名の通り松の葉のように細く分かれた糸状の姿をしており、シャキシャキとした独特の歯ごたえと高貴な磯の香りを持っています。釣り人にとっては、春先の磯場で足元の岩にびっしりと生えている「ただの海藻」に見えるかもしれませんが、実はそれがキロ単価数千円から一万円近くにもなる「海の宝石」であることはあまり知られていません。熱湯にくぐらせた瞬間に鮮烈な緑色に変化する美しさと、アイナメなどの根魚が潜む一級ポイントとしての側面、そして絶対に守るべき採取のルールについて解説します。

項目内容
分類褐藻綱ナガマツモ目ナガマツモ科マツモ属
標準和名マツモ
漢字松藻
別名マツボ、ヒゲモ
学名Analipus japonicus
英名Fir needle (直訳:モミの針)
季節冬から春(2月〜3月)
生息域北海道から九州の太平洋岸、特に三陸沿岸
目次

マツモとは

マツモは日本の太平洋沿岸、特に岩手県や宮城県などの三陸地方の波が荒い岩礁帯に自生する褐藻類(ワカメやコンブの仲間)です。

冬から春にかけて潮間帯(潮の満ち引きで海面から出たり入ったりする場所)の岩の上に群生します。

細い糸状の枝が無数に分岐しており、その見た目が松葉に似ていることから「松藻(マツモ)」と名付けられました。

養殖技術が確立されていないため流通するのは全て天然物であり、さらに収穫できる期間が短く手摘みでしか採れないため、極めて希少価値が高い海藻です。

地元では正月料理や祝いの席に欠かせない食材であり、贈答用としても重宝されています。

マツモの特徴

体長は10センチメートルから20センチメートルほどになります。

海の中にある時は濃い褐色(茶色)をしていますが、熱湯を通すと一瞬で鮮やかなエメラルドグリーンに変化します。この劇的な色の変化はマツモを食べる際の楽しみの一つです。

食感はワカメよりも繊維がしっかりとしており、噛むと「シャキシャキ」「キュッキュッ」という心地よい音がします。

味自体にクセはありませんが、他の海藻にはない上品で深みのある磯の香りが口いっぱいに広がります。

釣り人への豆知識:藻場は根魚のマンション

マツモが生い茂る岩場は、釣り人にとっても重要な意味を持ちます。

絶好の根魚ポイント

マツモなどの海藻が繁茂する場所(藻場)は、アイナメ、クジメ、ソイ、ベッコウゾイなどの根魚にとって最高の隠れ家であり餌場です。

海藻の隙間にはヨコエビなどの小さな甲殻類が多く住み着いており、それを狙って魚が集まります。

春先にマツモが生えている磯際やスリット(岩の割れ目)にブラクリ仕掛けやソフトルアーを落とし込むと、良型の根魚が飛び出してくることがよくあります。

釣り人にとっては「根掛かりの原因」として敬遠されがちな海藻ですが、そこは魚のマンションであることを覚えておくと釣果アップに繋がります。

【重要】採取の禁止

釣り場に行くと足元にマツモが生えているのを見かけることがありますが、絶対に採取してはいけません

マツモは漁業権の対象となっており、一般人が勝手に採ると密漁として法的に処罰されます。

特にマツモは単価が高いため監視が厳しく、地元の漁師さんとのトラブルの原因にもなります。

「高級食材が足元にある」と認識しつつも、あくまで魚を釣るためのポイントとして見るに留めてください。

食材としての評価

「海藻の王様」の名に恥じない価格と味を誇ります。

乾燥させた板マツモや、塩蔵マツモ、冷凍マツモなどが流通していますが、最も美味しいのは旬の時期の生マツモです。

一袋(数10グラム)で数百円から千円以上することも珍しくありません。

その食感と香りは、ワカメやメカブとは一線を画す別次元のものです。

マツモの料理

マツモの最大の魅力である「食感」と「色の変化」を楽しむ料理が基本です。加熱しすぎると色が飛んで食感が悪くなるため、さっと湯通しするのがコツです。

マツモのしゃぶしゃぶ

生のマツモが手に入ったらまずはこれです。

鍋に昆布出汁を張り、茶色のマツモを箸で摘んでサッと湯にくぐらせます。

瞬時に鮮やかな緑色に変わったところを引き上げ、ポン酢で頂きます。

シャキシャキとした歯ごたえと鼻に抜ける磯の香りは、まさに春の息吹を感じさせる味です。

お吸い物・味噌汁

お椀にマツモを入れておき、熱々の出汁や味噌汁を注ぎます。

注いだ瞬間に色が変わり、椀の中で松葉が広がるように見えます。

見た目も美しく、汁にマツモの出汁が出て上品な味わいになります。

煮込むとドロドロになってしまうので、あくまで「食べる直前に入れる」のがポイントです。

酢の物

湯通しして冷水で締めたマツモを三杯酢で和えます。

キュッキュッとした食感が際立ち、箸休めに最適です。

タコやキュウリと一緒に和えると彩りも豊かになります。

まとめ

マツモは、荒磯の波に揉まれて育つ海藻界のサラブレッドです。釣り人にとっては、根掛かりを誘発する厄介な存在に見えるかもしれませんが、その下にはアイナメなどの好敵手が潜み、マツモ自体も市場では高値で取引される貴重な資源です。磯釣りで足元に揺れる茶色い海藻を見つけたら、それが春を告げる高級食材であることを思い出し、海の中の豊かさに感謝しながら竿を出してみてください。

マツモに関するよくある質問

水草のマツモとは違いますか

はい、全く別の植物です。

アクアリウム(金魚やメダカの飼育)で使われる「マツモ(金魚藻)」は、マツモ科に属する淡水性の水草です。

今回紹介した「海藻のマツモ」は褐藻類(コンブなどの仲間)であり、海に生息しています。

名前と見た目(松葉に似ている点)は同じですが、生き物としての分類も生息環境も異なります。

どこで買えますか

スーパーなどで見かけることは稀で、主に岩手県や宮城県などの三陸地方の鮮魚店や道の駅、または百貨店の物産展などで販売されています。

旬の時期(2月〜3月)以外は、乾燥品や冷凍品がネット通販などで入手可能です。

乾燥品は板状に加工されていることが多く、軽く炙ってからお吸い物などに使います。

どうしてあんなに高いのですか

養殖ができず、全ての工程が手作業だからです。

冬の極寒の海で、漁師さんが波を被りながら岩場に張り付いて手で一つ一つ摘み取ります。

さらに、摘み取った後の選別や洗浄も手間がかかるため、人件費と希少性が価格に反映されています。

その苦労に見合うだけの味と価値がある海藻です。

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この記事を書いた人

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