ブラウントラウト

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黄金色の魚体に散りばめられた鮮やかな朱色の斑点。その美しさから「水生昆虫の宝石」とも称されるフライフィッシングの憧れのターゲットがブラウントラウトです。ヨーロッパ原産のこの魚は明治時代にニジマスと共に日本へ持ち込まれましたが、その旺盛な食欲と魚食性の強さから、在来のイワナやヤマメを脅かす存在として生態系への影響が懸念されています。北海道などの一部の河川や湖では野生化し、モンスタークラスの巨大魚として釣り人を魅了する一方で、駆除の対象となることもある複雑な立ち位置にいます。欧州の貴婦人のような美貌と、貪欲なプレデターとしての獰猛さを併せ持つこの魚の生態や、在来種との関係、そしてゲームフィッシングとしての魅力について解説します。

項目内容
分類サケ目サケ科タイセイヨウサケ属
標準和名ブラウントラウト
漢字茶鱒
別名茶マス、ブラウン
学名Salmo trutta
英名Brown trout
季節春から秋
生息域北海道、本州の一部(中禅寺湖、芦ノ湖など)の冷水域
目次

ブラウントラウトとは

ブラウントラウトはヨーロッパから西アジアを原産とするサケ科の魚です。

日本へは明治時代にアメリカからカワマス(ブルックトラウト)の卵として輸入された際に、偶然混入していたのが最初だと言われています。

その後、中禅寺湖などで放流が行われ、現在では北海道の河川や湖沼を中心に定着しています。

冷たい水を好みますが、他のサケ科魚類に比べて比較的高水温や汚れに強いという特性を持っています。

世界的には「世界の侵略的外来種ワースト100」に選定されており、日本でも環境省の「生態系被害防止外来種リスト」に掲載されています。

ニジマスとは異なり、タイセイヨウサケ(アトランティックサーモン)に近い種類です。

ブラウントラウトの特徴

体長は30センチメートルから60センチメートルほどが一般的ですが、環境が良い場所では1メートル近くまで巨大化することもあります。

体色は名前の通り背中側が茶褐色や黄褐色をしており、お腹側は黄色から黄金色を帯びています。

最大の特徴は体側に散らばる黒い斑点と、その周りが白く縁取られた鮮やかな朱色の斑点(レッドスポット)です。

ただし、個体差や生息環境(湖か川か)によって色彩変異が激しく、銀色がかった個体や斑点が少ない個体も存在します。

海に下って大きく成長し、再び川に戻ってくる降海型は「シートラウト」と呼ばれます。

口は大きく、顎の力も強く、鋭い歯が並んでいます。

在来種への脅威と問題点

ブラウントラウトは非常に魚食性が強い魚です。

成長すると水生昆虫だけでなく、他の魚を積極的に捕食するようになります。

特に問題視されているのが、日本在来のイワナやヤマメ(アマゴ)との競合です。

同じような環境に生息するため、餌や住処を奪うだけでなく、在来種そのものを食べてしまったり、イワナと交雑して雑種を作ってしまったりすることが確認されています。

このため、北海道などでは移植や放流が厳しく禁止されており、キャッチアンドリリース禁止(再放流禁止)を呼びかけている河川もあります。

ニジマスとの見分け方

よく似たニジマスとは以下の点で見分けることができます。

斑点の色

ブラウントラウトには朱色の斑点(レッドスポット)があることが多いですが、ニジマスには朱点はなく、全身に黒い小斑点があります。

体側の模様

ニジマスには体の中央に太い虹色(ピンク色)の縦帯がありますが、ブラウントラウトにはこの帯がありません。

地色

ニジマスは全体的に銀色や青緑色が強いですが、ブラウントラウトは全体的に黄色や茶色がかった色をしています。

ブラウントラウトの釣り

その美しさと引きの強さ、そして狡猾さから、ゲームフィッシングの対象として世界中で絶大な人気を誇ります。

ルアー・フライフィッシング

警戒心が非常に強く、物音や人影に敏感なため、アプローチには慎重さが求められます。

ミノーなどのルアーや、昆虫に似せたフライ(毛針)を使って狙います。

特に障害物(ストラクチャー)の陰に潜んでいることが多く、そこから誘い出すテクニックが必要です。

ヒットした後は、ジャンプを繰り返すニジマスとは対照的に、体をねじらせて底へ潜ろうとする重厚なファイトを見せます。

中禅寺湖や芦ノ湖などの管理釣り場では、大型のブラウントラウトを狙うことができます。

ブラウントラウトの料理

サケ科の魚なので味は良く、ニジマスやサケと同様に美味しく食べられます。

ムニエル

最もポピュラーな食べ方です。

身はサーモンピンク色(餌による)をしており、バターとの相性が抜群です。

皮目をカリッと焼いて、香草やレモンを添えると臭みも気になりません。

燻製

脂の乗ったブラウントラウトは燻製に最適です。

塩漬けにしてから桜のチップなどでじっくり燻すと、香ばしい香りと凝縮された旨味を楽しめます。

保存食としても優秀で、お酒のつまみに最高です。

塩焼き・フライ

小型のものは塩焼きやフライにしても美味しいです。

ただし、野生の個体は寄生虫のリスクがあるため、生食(刺身)は避け、必ず加熱調理するか、一度冷凍処理(ルイベ)にする必要があります。

まとめ

ブラウントラウトは、その黄金色の魚体で釣り人を魅了する美しきターゲットですが、同時に日本の生態系を脅かす侵入者でもあります。彼らに罪はありませんが、人間が持ち込んだことによって生じた歪みは無視できません。管理された湖での釣りを楽しむ分には最高のパートナーですが、自然河川で出会った際は、その場所のルールに従って適切に対処する必要があります。美しさと危うさが同居する、複雑な魅力を持った魚です。

ブラウントラウトに関するよくある質問

放流してもいいですか

絶対に放流してはいけません。

特定外来生物には指定されていませんが、「生態系被害防止外来種(重点対策外来種)」に指定されており、生息域を拡大させないことが強く求められています。

釣った場所から別の場所へ生きたまま移動させること(移殖)も避けてください。

在来種の保護のため、釣り人のモラルが問われています。

食べても大丈夫ですか

はい、美味しく食べられます。

基本的にニジマスと同じ味ですが、野生化した個体は川魚特有の臭みがある場合があるため、ハーブやスパイスを使ったり、燻製にしたりするのがおすすめです。

皮にぬめりがあるので、塩でこすって洗い流してから調理してください。

日本のどこにいますか

主に北海道の全域と、本州の一部の湖(中禅寺湖、芦ノ湖、本栖湖など)に生息しています。

本州の河川で見つかることもありますが、これらは無許可放流によるものと考えられており、問題となっています。

管理釣り場(エリアトラウト)では放流されていることが多く、そこでは手軽に釣ることができます。

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この記事を書いた人

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