ミナミマグロ

「赤いダイヤ」と称される本マグロ(クロマグロ)と並び寿司屋のカウンターで主役を張る最高級のマグロであるミナミマグロ。一般的には「インドマグロ」という名前で親しまれており本マグロよりもこのインドマグロのねっとりとした甘い脂を好む美食家も多いです。南半球の冷たい海を回遊しているため身が引き締まっており極上の脂乗りと濃厚な旨味を兼ね備えています。かつては乱獲により絶滅が危惧されるほど個体数が減少しましたが厳格な資源管理とオーストラリアなどで盛んに行われている畜養(ちくよう)技術によって私たちの食卓に安定して届けられるようになりました。本マグロのライバルとも言えるこの魚の特徴や名前の由来そしてとろけるような大トロの魅力について解説します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | スズキ目サバ科マグロ属 |
| 標準和名 | ミナミマグロ |
| 漢字 | 南鮪 |
| 別名 | インドマグロ、ゴウシュウマグロ |
| 学名 | Thunnus maccoyii |
| 英名 | Southern bluefin tuna |
| 季節 | 通年(冷凍・畜養が主)、夏(南半球の冬) |
| 生息域 | 南半球の温帯から寒帯海域(南緯30度〜50度付近) |
ミナミマグロとは
ミナミマグロは南半球の南緯30度から50度付近の広い海域に生息するサバ科の大型魚です。
日本近海には生息しておらず主にインド洋の南部やオーストラリアニュージーランド周辺ケープタウン沖などの水温の低い荒れた海を回遊しています。
標準和名よりも市場や寿司店で使われる「インドマグロ」という呼び名の方が有名ですがこれは主な漁場がインド洋であったことに由来しています。
本マグロ(クロマグロ)に次ぐ高級マグロとして扱われておりスーパーに並ぶことは少なく主に高級寿司店や料亭で消費されます。
現在流通しているミナミマグロの多くは遠洋漁業で獲れた天然物を船上で急速冷凍したものかオーストラリアなどで漁獲した若魚を生簀で太らせた「畜養」ものです。
ミナミマグロの特徴
体長は最大で2.5メートル体重は200キログラムを超えますが本マグロ(最大3メートル・400キログラム以上)に比べるとひと回り小型です。
体型は本マグロによく似た紡錘形ですが胸ビレがやや短く体色は背中が濃い紺色で腹部は銀白色をしています。
尾柄(尾ビレの付け根)にある隆起線(キール)が黄色味を帯びているのが特徴で本マグロのキールは黒いためここで見分けることができます。
身質は本マグロよりも繊維が細かくねっとりとしており脂の甘みが非常に強いのが特徴です。
また肉色が鮮やかで変色しにくいため見た目の美しさが長持ちすることも寿司種として重宝される理由の一つです。
本マグロとの違い
マグロ界のツートップである本マグロ(クロマグロ)とミナミマグロですが味には明確な個性の違いがあります。
味と脂
本マグロは「酸味」と「鉄分」を感じさせる力強い旨味があり脂はサラッとしています。
一方ミナミマグロは酸味が少なく「甘み」と「濃厚なコク」が際立っており脂はねっとりと舌に絡みつくような質感です。
このため甘い脂が好きな人は本マグロよりもインド(ミナミマグロ)を指名して食べることがあります。
生息域
本マグロは北半球(日本近海や大西洋など)に生息していますがミナミマグロは南半球限定です。
生息域が重なることはなく地球の北と南でそれぞれの生態系の頂点に君臨しています。
資源管理と畜養
ミナミマグロは脂の乗りが良いことから世界中で人気が高まり1980年代頃までの乱獲によって資源量が激減しました。
現在は「みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)」によって漁獲枠が厳しく管理されており資源量は回復傾向にあります。
また天然の稚魚や若魚を捕獲して生簀に入れ餌を与えて大きく育てる「畜養(ちくよう)」がオーストラリアのポートリンカーンなどで盛んに行われています。
畜養されたミナミマグロは運動量が制限され栄養価の高い餌をたっぷりと与えられるため全身がトロのような状態になり非常に高品質な状態で日本へ輸出されています。
ミナミマグロの料理
ミナミマグロの真骨頂はその脂の甘みです。加熱するよりも生で食べることでその魅力を最大限に味わえます。
刺身(大トロ・中トロ)
ミナミマグロのトロは本マグロ以上に甘みが強く濃厚です。
口に入れた瞬間に体温で脂が溶け出し醤油の塩気と混ざり合って極上のソースとなります。
繊維が柔らかいため筋もあまり気にならずとろけるような食感を堪能できます。
寿司
酢飯との相性は抜群です。
特に少し甘めの酢飯や赤酢を使ったシャリと合わせるとミナミマグロの濃厚なコクが引き立ちます。
赤身も色が鮮やかで味が濃く本マグロのような酸味が苦手な人にも好まれます。
カマトロ焼き
一匹からわずかしか取れないカマ(エラの後ろ)の部分は霜降り状に脂が入った希少部位です。
塩を振って焼くと脂がじゅわっと溢れ出しステーキのような食べ応えがあります。
ワサビや大根おろしを添えてさっぱりと食べるのがおすすめです。
まとめ
ミナミマグロは「インドマグロ」の名で愛される南の海の赤い宝石です。本マグロの影に隠れがちですがその甘く濃厚な味わいは決して引けを取りません。かつては乱獲の危機に瀕しましたが人々の知恵と努力によって再び食卓で輝きを取り戻しつつあります。もし寿司屋で「今日はいいインドが入ってるよ」と言われたら迷わず注文してみてください。北の本マグロとは違う南の海が育んだ情熱的な甘みに出会えるはずです。
ミナミマグロに関するよくある質問
インドマグロという名前はインド産という意味ですか
いいえインド産とは限りません。
かつてインド洋が主要な漁場であったことからインドマグロと呼ばれていますが現在はオーストラリアやニュージーランド南アフリカ沖など南半球の広い範囲で漁獲されています。
産地名ではなく種類の呼び名として定着しています。
旬はいつですか
ミナミマグロは南半球に生息しているため現地の冬にあたる6月から8月頃(日本の夏)が脂の乗る旬と言われています。
しかし日本で流通しているものの多くは冷凍物や畜養物であるため一年を通して安定して美味しいものが食べられます。
特に冷凍技術の発達により旬の時期に獲ったものを年間通じて提供できる体制が整っています。
本マグロより高いですか
一般的には本マグロ(特に国産天然物)の方が高値で取引されますがミナミマグロも非常に高価な高級魚です。
品質の良い畜養のミナミマグロは輸入物の本マグロと同等かそれ以上の価格が付くこともあります。
回転寿司などで見かけることは少なく高級店向けの食材と言えます。































