タカベ

夏の海を鮮やかな青と黄色で彩る魚タカベ。伊豆諸島や房総半島を中心とした関東近海で親しまれているこの魚は夏の到来を告げる極上の味覚です。塩焼きにすると滴り落ちるほどの豊富な脂を持ちその味わいはアジやサンマを凌駕すると言われることもあります。磯釣りでは餌取りとして敬遠されることもありますが食味の良さを知る人は喜んで持ち帰ります。美しい見た目と驚きの脂乗りを持つこの魚の生態や美味しい食べ方について解説します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | スズキ目タカベ科タカベ属 |
| 標準和名 | タカベ |
| 漢字 | 鰖、高部 |
| 別名 | シャカ、ホタル |
| 学名 | Labracoglossa argentiventris |
| 英名 | Yellowstriped butterfish |
| 季節 | 夏(6月から8月) |
| 生息域 | 本州中部以南の太平洋側、特に伊豆諸島 |
タカベとは
タカベは本州中部から南の太平洋沿岸に生息するタカベ科の魚です。
世界でも日本近海にしか生息していない固有種に近い魚であり特に関東地方や伊豆諸島でなじみが深いです。
名前の由来は高いところ(表層)を泳ぐ魚という意味で高部(タカベ)と名付けられたと言われています。
漢字では魚偏に夏ではなく魚偏に高いの旧字体などを組み合わせて鰖と書かれることもありますがこれは国字(日本で作られた漢字)です。
夏が旬の魚で産卵前のこの時期は全身に脂が乗り切り塩焼きにすると火が出るほどです。
その味の良さから鮮魚店や料理店では高級魚として扱われています。
タカベの特徴
体長は20センチメートルから30センチメートルほどになります。
体型は紡錘形でやや側扁しています。
最も特徴的なのはその体色です。
背中側は鮮やかなコバルトブルーで腹側は銀白色をしています。
そして頭の後ろから尾ビレにかけて鮮明な黄色の縦帯が走っており尾ビレ全体も黄色く染まっています。
この青と黄色のコントラストは非常に美しく水族館でも観賞魚として人気があります。
よく似た魚にウメイロがありますがウメイロはフエダイ科の魚で背中全体が黄色くなる点や生息域がより南方である点で見分けることができます。
タカベの生態
食性は動物プランクトン食性でオキアミや小型の甲殻類を捕食します。
潮通しの良い岩礁帯の表層から中層を大きな群れを作って回遊しています。
非常に活発に泳ぎ回りマキエ(撒き餌)を撒くと水面まで乱舞して食いついてきます。
産卵期は秋から冬にかけてで伊豆諸島周辺などが主な産卵場と考えられています。
旬である夏は産卵に向けた準備期間であり栄養をたっぷりと蓄えているため最も美味しくなります。
タカベの釣り
磯釣りや船釣りのターゲットとなりますが専門に狙うというよりはメジナ(グレ)やイサキ釣りの外道として釣れることが多いです。
ウキフカセ釣り
メジナ釣りの仕掛けに群がってきます。
口が小さく餌を取るのが非常に上手いため釣り人からは餌取り名人として嫌われることがあります。
しかしタカベの群れをかわすのは至難の業であり逆に開き直ってタカベを専門に狙うのも一つの楽しみ方です。
口が小さいため小針を使用しアタリがあったら即座に合わせるのがコツです。
サビキ釣り
群れが岸近くに寄っている場合はサビキ釣りでも狙うことができます。
トリックサビキなど餌を針に付けるタイプの仕掛けが有効です。
タカベの料理
タカベの真価は料理にあります。特に脂の乗った夏のタカベは魚界屈指の美味しさを誇ります。
塩焼き
タカベと言えば塩焼きです。
ウロコとエラを取り内臓はそのままで焼くのが通の食べ方です。
タカベの内臓はアミなどのプランクトンを食べているため臭みがなく独特のほろ苦さと脂の甘みがあります。
焼くと皮がパリッとして中からジュワッと脂が溢れ出します。
あまりに脂が多いため炭火で焼くと煙が上がり炎に包まれることがあります。
刺身
鮮度が良ければ刺身も絶品です。
皮目に独特の旨味があるため皮を引かずに湯引き(皮霜造り)や炙り(焼き霜造り)にするのがおすすめです。
脂の甘みと身の締まりが絶妙なバランスです。
煮付け
脂が強いため煮付けにしても身がパサつかずふっくらと仕上がります。
煮汁に脂が溶け出しこってりとした濃厚な味わいになります。
干物
開いて干物にすると余分な水分が抜けて旨味が凝縮されます。
焼いた時の香ばしさは生魚とはまた違った魅力があり最高のご飯のお供になります。
まとめ
タカベは日本の夏を代表する海の宝石です。その美しい姿は海の中でひときわ輝きその味は夏の暑さを吹き飛ばすほどのエネルギーに満ちています。釣り場では厄介者扱いされることもありますがクーラーボックスに入れて持ち帰れば食卓の主役になること間違いありません。もし鮮魚店で黄色いラインの入った青い魚を見かけたら迷わず手に取って極上の塩焼きを堪能してみてください。
タカベに関するよくある質問
内臓は食べられますか
はい食べられます。
タカベは主にプランクトンを食べているため内臓に臭みが少なく脂が乗っていて美味しいとされています。
特に塩焼きの場合は内臓を残したまま焼きそのほろ苦さを楽しむのが好まれます。
ただし砂を噛んでいる場合や鮮度が落ちている場合は取り除いた方が無難です。
ウメイロとの違いは何ですか
ウメイロはフエダイ科の魚でタカベよりも体高が高くずんぐりしています。
色のパターンも異なりタカベは青い背中に黄色いラインが入りますがウメイロは背中全体が黄色くなります。
味はどちらも非常に美味しいですがタカベの方が脂の乗りが強い傾向があります。
骨は硬いですか
骨はそれほど硬くありませんが小骨が少し多い魚です。
塩焼きにする際は背中とお腹の骨に沿って箸を入れるときれいに身が剥がれます。
小型のものは唐揚げにすれば骨ごと食べることができます。































