サーモントラウト

回転寿司やスーパーの刺身コーナーで不動の人気を誇るサーモン。その鮮やかなオレンジ色の身ととろけるような脂の乗りは子供から大人まで多くの人を魅了しています。しかしこのサーモントラウトという名前の魚が図鑑には存在しないことをご存知でしょうか。実はその正体は川魚であるニジマスを海で養殖したものです。淡水魚であるはずのニジマスがなぜ海の魚として流通しているのか。そこには養殖技術の進化と生食へのあくなき探求がありました。鮭との違いや安心して生で食べられる理由そして食卓を彩る美味しい食べ方について解説します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | サケ目サケ科タイヘイヨウサケ属 |
| 標準和名 | ニジマス(海面養殖) |
| 漢字 | 虹鱒 |
| 流通名 | サーモントラウト、トラウトサーモン |
| 学名 | Oncorhynchus mykiss |
| 英名 | Rainbow trout / Steelhead |
| 季節 | 通年(養殖・輸入が主) |
| 生産地 | チリ、ノルウェー、日本国内など |
サーモントラウトとは
サーモントラウトは海面養殖されたニジマスの流通名です。
生物学的にはニジマスそのものですが淡水で育つ通常のニジマスとは区別され海水で大きく育てられたものがこの名前で呼ばれます。
本来ニジマスは淡水魚ですが徐々に海水に慣れさせることで海での生活が可能になります。
広い海で豊富な餌を与えられて育つため川のニジマスよりも遥かに大きく成長し全身に上質な脂を蓄えます。
日本で流通しているものの多くはチリやノルウェーからの輸入物ですが近年では日本各地でもご当地サーモンとしてブランド化された海面養殖ニジマスが増えています。
名前の響きからサケとマスの合いの子だと思われることもありますが純粋なニジマスです。
サーモントラウトの特徴
体長は60センチメートルから80センチメートルほどになり体重は3キログラムから5キログラムに達する大型魚です。
海で育つことで体色は銀色に輝き背中側は青緑色を帯びます。
ニジマスの特徴である体側の虹色のライン(レッドバンド)は薄くなったり消えたりすることがありますが黒い斑点は残っています。
最大の特徴は何と言ってもその身の色です。
鮮やかなオレンジ色(サーモンピンク)をしており白い脂肪の筋(サシ)が綺麗に入っています。
この色は餌に含まれるアスタキサンチンという色素によるものであり食欲をそそる美しい色合いに調整されています。
身質は柔らかく脂の含有量が非常に高いため加熱してもパサつかず生で食べると口の中で溶けるような食感を楽しめます。
サーモントラウトの生態と生産サイクル
食性は肉食性でペレットと呼ばれる配合飼料を食べて育ちます。
天然の魚と異なり管理された環境で栄養価の高い餌を与えられるため成長が早く脂乗りも安定しています。
本来のニジマスは一生を淡水で過ごす陸封型ですが中には海へ下る降海型もおりこれはスチールヘッド(頭が鉄色になることから)と呼ばれます。
サーモントラウトはこのスチールヘッドの性質を利用し人工的に海へ降ろして養殖したものです。
孵化した稚魚は淡水の生簀で一定の大きさまで育てられその後海上の生簀へと移されます。
海での養殖期間を経て大きく育った魚は水揚げされ直ちに加工・出荷されます。
サーモントラウトの安全性と生食
サーモントラウトが刺身や寿司ネタとして広く普及した最大の理由はアニサキスなどの寄生虫のリスクが極めて低いからです。
天然のサケ(シロザケなど)はオキアミなどの天然餌を食べる過程で寄生虫を取り込む可能性があるため一度冷凍しない限り生食は推奨されません。
一方サーモントラウトは管理された人工飼料のみを食べて育つため寄生虫が混入する経路が遮断されています。
そのため水揚げ後すぐに生のまま安心して食べることができとろけるような脂とフレッシュな味わいを家庭でも手軽に楽しむことができます。
これが従来の塩鮭文化だった日本に生サーモン文化を根付かせた革命的な点です。
サーモントラウトの料理
脂が乗った身は和洋中問わずあらゆる料理にマッチします。特に加熱した時のふっくら感と生で食べた時の濃厚さは他の魚にはない魅力です。
刺身・カルパッチョ・寿司
最もポピュラーな食べ方です。
醤油とわさびで食べる刺身はもちろんオリーブオイルとレモンでカルパッチョにすると脂の重さが和らぎさっぱりといただけます。
マヨネーズやアボカドとの相性も抜群でサラダや寿司ロールにするのも人気です。
ムニエル・ソテー
加熱料理の定番です。
小麦粉をまぶしてバターで焼くと皮はパリッと身はふっくらジューシーに仕上がります。
脂が多いため油を引かなくても焼けるほどです。
レモンバターソースやタルタルソースきのこソースなど濃いめのソースともよく合います。
ホイル焼き
野菜やきのこと一緒にアルミホイルで包んで焼きます。
蒸し焼き状態になるため身が非常に柔らかくなりサーモンの旨味とバターの香りが野菜に染み込みます。
フライパン一つで簡単に作れるため忙しい日のメインディッシュに最適です。
フライ・クリーム煮
クリームシチューやグラタンの具材としても優秀です。
サーモンのピンク色が料理に彩りを添え濃厚な脂がクリームソースにコクを与えます。
フライにするとサクサクの衣の中から熱々の脂が溢れ出し子供にも大人気のメニューになります。
まとめ
サーモントラウトは人の手によって育てられた海のニジマスです。図鑑に載っていないその名前は美味しさと安全性を追求した養殖技術の結晶でもあります。回転寿司で回ってくるサーモンもスーパーに並ぶオレンジ色の切り身もその背景を知ればより一層味わい深く感じられるはずです。今夜はぜひ脂の乗ったサーモントラウトで食卓を華やかに彩ってみてください。
サーモントラウトに関するよくある質問
アトランティックサーモンとの違いは
スーパーでよく見かけるもう一つの生食用サーモンがアトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)です。
こちらはニジマスではなくサケの一種であり主にノルウェーなどで養殖されています。
味の違いとしてはアトランティックサーモンの方がさらに脂が乗っており身が柔らかく大型です。
サーモントラウトはアトランティックサーモンに比べるとやや身が引き締まっておりあっさりとした脂と鮮やかな身色が特徴ですがどちらも非常に美味で甲乙つけがたい人気があります。
天然のニジマスは生で食べられますか
川で釣れる天然のニジマスは寄生虫を持っている可能性があるため生食は避けるべきです。
必ず加熱調理するかマイナス20度以下で24時間以上冷凍処理をしてから食べる必要があります。
生で安全に食べられるのは管理された環境でペレットを食べて育った養殖魚だけです。
旬はいつですか
養殖魚であり世界中から輸入されているため一年中安定して美味しいものが手に入ります。
特にチリ産やノルウェー産は通年流通していますが日本国内のご当地サーモンに関しては海水温が下がる春から初夏にかけて水揚げのピークを迎えるものが多くその時期が最も脂が乗って美味しい旬と言えます。































