サクラダイ

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海の中で咲き誇る桜のような美しさからその名が付けられたサクラダイ。ダイビングスポットでは、赤い体に白い斑点が散りばめられたオスが、オレンジ色のメスの群れを率いて泳ぐ幻想的な光景が見られ、ダイバーたちの被写体として非常に人気があります。しかし、この魚のドラマチックな一生を知る人は多くありません。実はサクラダイは、生まれた時はすべてメスであり、群れの中で強く大きく育った個体だけがオスへと性転換し、あの美しい桜模様の婚姻色を身にまとうことができるのです。観賞魚としての側面が強いですが、実はハタ科の魚であり、食べても非常に美味しい実力を持っています。その華麗な変身の秘密や、オスとメスの決定的な違い、そして小さな体に凝縮された旨味を味わう料理について解説します。

項目内容
分類スズキ目ハタ科ハナダイ亜科サクラダイ属
標準和名サクラダイ
漢字桜鯛
別名オドリコ(伊豆地方など)、アカナ
学名Sacura margaritacea
英名Cherry bass
季節秋から春
生息域本州中部以南の岩礁帯(水深20m〜50m付近)
目次

サクラダイとは

サクラダイは、日本の沿岸から台湾にかけて生息するハタ科ハナダイ亜科の小魚です。

「タイ(鯛)」と名前に付きますが、マダイなどのタイ科の魚ではなく、アカネハナゴイやキンギョハナダイなどと同じハタの仲間(ハナダイ類)です。

水深20メートルから60メートルほどのやや深い岩礁帯に生息しており、潮通しの良い場所で大きな群れを作ってプランクトンを食べています。

体長は15センチメートル前後で、日本固有種(あるいは日本近海特産種)として知られています。

その名の由来は、オスの体色が鮮やかな赤色で、体側に桜の花びらのような白い斑点が散らばっていることから「桜鯛」と名付けられました。

※春に産卵期を迎えて体が桜色になるマダイのことも「桜鯛」と呼びますが、標準和名としてのサクラダイはこの魚のことを指します。

劇的な性転換(オスとメスの違い)

サクラダイの最大の特徴は、性別によって見た目が全く異なる「性的二型」と、成長過程で性別が変わる「雌性先熟(しせいせんじゅく)」という生態です。

【全てメスとして生まれる】

サクラダイの稚魚は、すべてメスとして生まれます。

メスの体色は全体的にオレンジ色や薄い朱色をしており、背ビレの後方に**黒い大きな斑紋(眼状斑)**が一つあるのが特徴です。

オスのような派手な白い斑点はありません。

【選ばれし者がオスになる】

群れの中で体が大きく成長し、社会的順位が高くなった個体だけが、メスからオスへと性転換します。

オスになると、体色は深みのある鮮やかな赤色に変化し、体側に桜の花びらのような白い斑点が無数に現れます。

また、背ビレの黒い斑紋は消え、背ビレの糸が長く伸びて優雅な姿になります。

海中で見るオスの群泳は、まさに桜吹雪のような美しさです。

サクラダイの釣り方

専門に狙う釣り船はほとんどありませんが、コマセを使った五目釣りやマダイ釣りの外道としてよく釣れます。

ポイントとシーズン

伊豆半島や房総半島などの岩礁帯、水深30〜50メートル付近がポイントです。

一年中いますが、秋から春にかけてよく見られます。

釣り方のコツ

オキアミをエサにした吹き流し仕掛けや、サビキ釣りで掛かります。

群れで行動しているため、一匹釣れるとバタバタと連続して釣れることが多いです。

口が小さいため、小さな針を使うのがコツです。

釣り上げると、深場から急に上げられた影響で目が飛び出したり、浮袋が膨らんでひっくり返ったりすることが多いため、リリースしても生存率が低いことがあります。

釣れてしまったら、美味しく食べてあげるのが供養になります。

食材としての評価

サイズが小さいため市場流通はしませんが、ハタ科の魚だけあって味は非常に良いです。

クセのない上品な白身で、ほのかな甘みがあります。

小さいながらも脂を含んでおり、加熱すると身がふっくらとします。

鱗が細かくて取りにくいのが難点ですが、皮に旨味があるため、皮付きのまま調理するのがおすすめです。

サクラダイの料理

小さい魚体を活かした揚げ物や、鮮度の良さを楽しむ刺身が向いています。

刺身・湯引き

15センチメートルを超えるような大型のオスが釣れたら、刺身に挑戦してみてください。

ハナダイ類特有の甘みのある白身で、見た目の赤色も相まって食卓が華やかになります。

皮が美しいので、皮を引かずに熱湯をかけて氷水で締める「湯引き(松皮造り)」にすると、皮の食感と旨味も一緒に味わえます。

唐揚げ

最もおすすめの調理法です。

鱗と内臓を取り、背ビレの硬い棘に注意しながら片栗粉をまぶして揚げます。

じっくりと二度揚げすれば、頭や骨までサクサクと丸ごと食べられます。

香ばしさと身の甘みがビールによく合います。

味噌汁

良い出汁が出るので、小さすぎる個体は味噌汁にします。

ぶつ切りにして水から煮出し、味噌を溶くだけです。

赤い魚体が汁に映えて美しく、上品な磯の香りが楽しめます。

煮付け

まとまった数が釣れたら煮付けにします。

身離れが良く、甘辛い味付けが淡白な身によく染み込みます。

ご飯のおかずにぴったりの一品です。

まとめ

サクラダイは、その名の通り海中に咲く桜のような美しさを持つ魚です。全ての個体がメスから始まり、厳しい競争を勝ち抜いた者だけが美しいオスの姿を手に入れるという、生命の神秘を感じさせる生態を持っています。釣り人にとっては外道扱いされることもありますが、その小さな体にはハタ科譲りの美味しさが詰まっています。もし釣り場でこの美しい魚に出会ったら、そのドラマチックな一生に思いを馳せつつ、唐揚げや味噌汁でその命を味わってみてください。

サクラダイに関するよくある質問

マダイの「桜鯛」とは別物ですか

はい、全く別の魚です。

マダイの桜鯛:春の産卵期を迎えて体がピンク色(桜色)に染まった「マダイ」の通称です。

標準和名のサクラダイ:今回紹介した、ハタ科ハナダイ亜科の小魚のことです。

混同しやすいですが、大きさも分類も全く異なります。

飼育はできますか

非常に美しいため、海水魚アクアリウムで人気があります。

比較的丈夫で人工飼料にも餌付きやすいですが、水深のある場所に住んでいるため、水温管理(高水温に弱い)や水質の維持には注意が必要です。

また、オスは縄張り意識が強いため、狭い水槽でオス同士を混泳させると喧嘩をすることがあります。

性転換する魚は他にもいますか

はい、実は魚類では珍しいことではありません。

サクラダイと同じハナダイの仲間(キンギョハナダイなど)や、ベラの仲間(キュウセンなど)、クマノミの仲間(クマノミはオスからメスへ性転換)など、多くの海水魚が成長過程や社会状況に応じて性別を変える能力を持っています。

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この記事を書いた人

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