サバヒー

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日本ではあまり馴染みがありませんが、台湾やフィリピン、インドネシアなどの東南アジア地域では「国民魚」として絶大な人気を誇る魚、サバヒー。英語名の「ミルクフィッシュ(Milkfish)」の方が通りが良いかもしれません。その名の通り、ミルクのように白い身と濃厚な脂を持ち、栄養価が非常に高いことから、現地の食卓には欠かせない重要なタンパク源となっています。日本でも沖縄や南西諸島に生息していますが、釣り人の間では「引きが強烈なファイター」として知られる一方、「小骨が多すぎて食べるのが大変な魚」としても有名です。台湾語に由来するユニークな名前の正体や、世界一とも言われる骨の多さ、そしてアジアの朝食を支えるその美味しさについて解説します。

項目内容
分類ネズミギス目サバヒー科サバヒー属
標準和名サバヒー
漢字虱目魚(台湾語表記)
別名ミルクフィッシュ、バングス(フィリピン)、カライワシ(混称)
学名Chanos chanos
英名Milkfish
季節通年(養殖が盛ん)
生息域沖縄、南西諸島、インド・太平洋の熱帯・亜熱帯域
目次

サバヒーとは

サバヒーは、インド・太平洋の暖かい海に広く分布する大型の魚です。

サバヒー科に属する現生種は、このサバヒー1種のみという「生きた化石」のような存在でもあります。

日本では主に沖縄県や、温排水が出ている地域で見られますが、台湾やフィリピンでは最重要の養殖魚として扱われています。

淡水や汽水にも適応できるため、海沿いの養殖池(フィッシュポンド)で大量に育てられています。

「サバヒー」という少し変わった標準和名は、台湾語での呼び名「サバヒ(虱目魚)」がそのまま定着したものです。

現地では「サバヒーの粥」が朝食の定番であり、日常食として深く根付いています。

サバヒーの特徴

【銀色の弾丸】

体長は1メートルを超え、最大で1.5メートルほどになります。

体型は細長い紡錘形(魚雷型)で、全身が細かい銀色の鱗(ウロコ)に覆われてギラギラと輝いています。

尾ビレは大きくV字に切れ込んでおり、この強力な尾を使って高速で泳ぎます。

その遊泳力とジャンプ力は凄まじく、釣り針に掛かるとターポンのように激しく水面を割って跳ねるため、スポーツフィッシングの対象としても人気があります。

【世界一小骨が多い?】

サバヒー最大の特徴であり、食べる際の難点は「小骨の多さ」です。

全身に「Y字型」や「I字型」の複雑な小骨が入り組んでおり、その数は200本以上とも言われます。

そのため、現地では骨抜き加工されたものが売られていたり、圧力鍋で骨まで柔らかくしたりして食べられています。

【歯のない口】

顔つきは少し愛嬌があり、口は小さくて歯がありません。

プランクトンや藻類を濾し取って食べる「濾過食性」あるいは「藻食性」です。

養殖では植物性の餌で育つため、環境負荷が低い持続可能な魚としても注目されています。

サバヒーの釣り方

沖縄などの港湾部や河口域で狙うことができます。

ポイントとシーズン

水温の高い時期、プランクトンが豊富な港内や河口の汽水域に群れで入ってきます。

水面でボイル(捕食活動)しているのが見えることもあります。

釣り方のコツ

歯がないため、ルアーやオキアミには反応しにくい魚です。

現地の釣り堀などでは、練り餌(パンや穀物を練ったもの)を使って吸い込ませるように釣ります。

また、藻類を食べる習性を利用し、緑色のフライ(毛針)や、藻に似せたワームで狙うこともあります。

掛かると強烈なスピードで走り回るため、タックルには十分な強度が求められます。

食材としての評価

味は「絶品」です。

英名ミルクフィッシュの通り、身は乳白色で、加熱するとフワフワと柔らかく、脂にはミルクやバターのような濃厚なコクと甘みがあります。

特に腹側の身(ベリー)は脂の乗りが凄まじく、マグロのトロにも匹敵する旨味を持っています。

唯一にして最大の欠点が小骨ですが、これを克服すれば、安価で美味しく栄養価も高い、素晴らしい食材です。

泥の底の藻類を食べている個体は、内臓周辺から独特の泥臭さがすることがあるため、下処理で黒い膜(腹膜)をきれいに取り除くことが重要です。

サバヒーの料理

アジア各国で愛される、脂の旨味を活かした料理が定番です。

サバヒー粥(台湾風)

台湾の朝ごはんの代名詞です。

骨を取り除いたサバヒーの切り身と、牡蠣などを入れて炊いたお粥です。

魚の出汁が米に染み込み、生姜とセロリがアクセントになって、朝から元気が出る優しい味です。

焼き魚・フライ(バングス)

フィリピンでは、開いて酢とニンニクに漬け込み、カリカリに揚げ焼きにするのがポピュラーです。

酸味の効いたタレと一緒に食べると、脂のしつこさが消えていくらでも食べられます。

また、燻製(スモーク)にすると骨から身が外れやすくなり、酒の肴に最高です。

スープ(シニガン)

フィリピンの酸っぱいスープ「シニガン」の具材としても使われます。

タマリンドの酸味とサバヒーの脂が融合し、南国特有の食欲をそそる味わいになります。

煮付け

日本風に煮付けにする場合は、小骨対策として圧力鍋を使うのがおすすめです。

骨まで柔らかく煮込めば、骨を気にせずに濃厚な身を堪能できます。

まとめ

サバヒーは、アジアの海と食卓を繋ぐ銀色の架け橋です。日本では釣り人を翻弄するターゲットとして、あるいは水族館の回遊魚として見かけることが多いですが、一歩海外へ出れば、人々の生活を支える偉大な魚です。もし沖縄や台湾旅行で「サバヒー(虱目魚)」の文字を見つけたら、その世界一厄介な小骨と、それを補って余りあるミルク色の身の甘さを体験してみてください。

サバヒーに関するよくある質問

名前はサバ(鯖)と関係ありますか

全く関係ありません。

「サバヒー」は台湾語の「虱目魚(Sat-ba-hî)」の発音が由来です。

マサバなどのサバ科とは分類も生態も全く異なります。

なぜミルクフィッシュと呼ばれるのですか

諸説ありますが、身の色が白くてミルクのようであること、あるいは脂が乗った身の味がミルキーで濃厚であることから名付けられたとされています。

お腹の内側の膜が白いからという説もあります。

日本のスーパーで買えますか

一般的なスーパーではまず売っていません。

輸入食品店(アジア系スーパー)の冷凍コーナーで見かけることがあります。

その場合は「Milkfish」や「Bangus(バングス)」と表記されていることが多いです。

骨抜き加工済みの冷凍フィレなら、調理も簡単でおすすめです。

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この記事を書いた人

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