ニュウドウカジカ

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2013年、イギリスの「醜い動物保存協会」が行った投票で、「世界で最も醜い生き物」の第1位に選ばれてしまい、一躍世界的な有名人(魚)となったニュウドウカジカ。ピンク色でドロドロとした皮膚、垂れ下がった大きな鼻のような突起、そしておじさんのような哀愁漂う表情は、一度見たら忘れられないインパクトがあります。しかし、あの姿は陸揚げされた「成れの果て」であり、深海にいる時は全く違う姿をしていることをご存知でしょうか。本記事では、ネタとして扱われがちなニュウドウカジカの真の姿や、驚くべき身体の構造について解説します。

項目内容
分類カサゴ目ウラナイカジカ科ニュウドウカジカ属
標準和名ニュウドウカジカ
漢字入道杜父魚
別名ブロブフィッシュ(Blobfish)
学名Psychrolutes marcidus
英名Blobfish
季節不明(食用ではない)
生息域オーストラリア、タスマニア、ニュージーランド近海の深海
目次

ニュウドウカジカとは

ニュウドウカジカは、水深600メートルから2800メートルという、光が届かず高水圧がかかる深海に生息するカサゴの仲間です。

英名の「Blobfish(ブロブフィッシュ)」は、「ブヨブヨした塊のような魚」という意味です。ネット上で拡散された写真は、底引き網で急激に引き揚げられた際、急激な気圧変化によって体が膨張・崩壊してしまった姿です。本来、海中にいる時はもっと引き締まった、普通の魚に近い見た目をしています。日本では水族館での展示例も極めて少なく、非常に謎の多い魚です。

ニュウドウカジカの特徴

最大の特徴は、その特異な身体構造です。

彼らには、通常の魚が持つ「浮袋」がありません。高水圧の深海では、空気の詰まった浮袋は押し潰されて役に立たないためです。その代わりに、水分を多く含んだゼラチン質の体を持っています。このゼラチン質の密度は海水よりもわずかに低いため、泳がなくても沈むことなく、海中をフワフワと漂うことができます。

また、筋肉はほとんどなく、エネルギー消費を極限まで抑える「省エネ設計」になっています。

ニュウドウカジカの生態とライフサイクル

食性

筋肉が少なく泳ぎが得意ではないため、獲物を追いかけることはしません。海底のすぐ上を漂いながら、目の前を通りかかったカニやエビ(甲殻類)、ウミフデ(サンゴの仲間)などを、掃除機のように吸い込んで捕食します。「待ち伏せ」というよりは「漂い食い」に近いスタイルです。

繁殖と成長

深海魚の繁殖行動は謎が多いですが、ニュウドウカジカの仲間は、岩場などに産んだ卵を親が守る習性があることが確認されています。外敵の少ない深海で、エネルギーを使わずにじっと卵に寄り添い、孵化するのを待ちます。寿命については詳しく分かっていませんが、深海魚特有の長い寿命(数十年〜100年以上)を持つ可能性があります。

ニュウドウカジカの分布と生息環境

名前に「カジカ」とつきますが、日本の川にいるカジカとは住む世界が違います。

主な生息域は、オーストラリア南東部やタスマニア島、ニュージーランド周辺の深海です。残念ながら日本近海には生息していませんが、近縁種の「トヤマモ」や「ガンコ」といった魚は日本の深海でも見つかります。

水温が非常に低く、強烈な水圧がかかる過酷な環境に適応して進化しました。

ニュウドウカジカの釣り方

残念ながら、ニュウドウカジカを狙って釣ることは不可能です。

生息水深が深すぎるため、一般的な遊漁のターゲットにはなり得ません。現在確認されている個体のほとんどは、深海のカニやロブスターを狙った底引き網漁(トロール漁)によって、意図せず混獲(混じって獲れること)されたものです。

この底引き網漁によって生息数が激減しており、絶滅が危惧されています。

ニュウドウカジカの料理

「世界一醜い」と言われる魚ですが、味はどうなのでしょうか。

食用には適さない

毒はありませんが、食用には全く適していません。

体全体が水分を大量に含んだゼラチン質の塊であるため、加熱するとドロドロに溶けてしまったり、非常に水っぽく味気ない物体になってしまいます。アンコウのように「見た目は悪いが味は良い」という深海魚のセオリーは、残念ながらニュウドウカジカには当てはまらないようです。現地でも市場に出回ることはなく、網にかかっても廃棄されます。

まとめ

ニュウドウカジカは、その衝撃的なルックスで笑い物にされがちですが、実は深海という極限環境を生き抜くために進化した「生命の神秘」を体現する存在です。あのブヨブヨの体は、浮袋を捨て、筋肉を捨てて手に入れた、高水圧への完璧な適応の結果なのです。ネット上の画像を見て笑うだけでなく、彼らが深海でひっそりと漂っている本来の姿にも思いを馳せてみてください。

ニュウドウカジカに関するよくある質問

日本の水族館で見られますか?

生体展示(生きている状態)は非常に困難です。高水圧と低温を維持する特殊な水槽が必要なため、世界的に見ても飼育例はほぼありません。ただし、「アクアマリンふくしま」などの一部の水族館で、標本や近縁種の展示が行われることはあります。

なぜあんなに垂れ下がった顔になるのですか?

深海の猛烈な水圧で形を保っていた体が、引き揚げられて急激に減圧されたことで、ゼラチン質の組織が膨張・崩壊してしまうためです。さらに重力の影響で皮膚が垂れ下がり、あの「おじさん顔」になってしまいます。水中ではもっと普通の魚らしい顔をしています。

日本にいる似た魚は?

「ウラナイカジカ科」の魚は日本にもいます。例えば「ガンコ」や「コブシカジカ」などが近縁種にあたります。これらも深海魚で、鍋の材料などとして一部地域で利用されていますが、見た目のインパクトはニュウドウカジカほどではありません。

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この記事を書いた人

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