ナマコ

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「海のネズミ」と書いてナマコ(海鼠)。その見た目はグロテスクそのもので、初めて食べた人の勇気が称えられる生き物の代表格です。ウニやヒトデと同じ「棘皮(きょくひ)動物」の仲間で、海底の砂泥を食べてはキレイにして排泄する、海の掃除屋さんとしての重要な役割を担っています。日本で食用とされるのは主に「マナマコ」という種類で、体の色によって「アカ」「アオ」「クロ」に分けられ、それぞれ味や価格が異なります。冬の味覚としてコリコリとした独特の食感が愛されるほか、その腸(はらわた)は「このわた」として日本三大珍味の一つに数えられます。見た目に反して栄養豊富で高級なこの食材の、色による違いや不思議な再生能力、そして板前直伝の下処理方法について解説します。

項目内容
分類棘皮動物門ナマコ綱シカクナマコ科マナマコ属
標準和名マナマコ
漢字海鼠
別名アカナマコ、アオナマコ、クロナマコ
学名Apostichopus japonicus
英名Sea cucumber
季節冬(「冬至ナマコ」と呼ばれる)
生息域日本全国の浅い岩礁帯、砂泥底
目次

ナマコとは

ナマコは、世界中の海に分布していますが、生で食べる文化があるのは日本や韓国など一部の国に限られます。

日本で「ナマコ」といえば、一般的にマナマコを指します。

海底をゆっくりと這い回り、有機物を含んだ砂や泥を口から吸い込み、栄養分だけを吸収して、きれいな砂を肛門から排泄します。

敵に襲われると、肛門から内臓を吐き出して囮(おとり)にし、その隙に逃げるという驚くべき防衛本能を持っています。

吐き出した内臓は、数ヶ月すれば再生して元通りになります。

古くは「コ」と呼ばれており、「生のコ」だから「ナマコ」、腸は「コの腸(はらわた)」だから「このわた」、卵巣は「口の子」だから「くちこ」と名付けられました。

ナマコの色と特徴(赤・青・黒)

マナマコは生息場所や遺伝的な要因で3つの色に分けられ、市場価値や食感が異なります。

【アカナマコ(赤)】

  • 特徴:赤褐色をしています。外海に面した岩礁帯や礫底(小石の底)を好みます。
  • 食感・味:身が柔らかく、磯の香りが強くて風味が良いとされます。
  • 評価:最も人気があり、価格も高めです。関西地方で特に好まれます。

【アオナマコ(青)】

  • 特徴:暗い緑色や青黒い色をしています。内湾の砂泥底に多く生息します。
  • 食感・味:身が硬く、非常に強い歯ごたえ(コリコリ感)があります。
  • 評価:漁獲量が多く、価格は赤よりも手頃です。関東地方で好まれる傾向があります。

【クロナマコ(黒)】

  • 特徴:全身が真っ黒です。青ナマコに近い場所にいますが、個体数は少ないです。
  • 食感・味:青ナマコ同様に硬めですが、品質が良いとされ、地域によっては赤より高級扱いされることもあります。

ナマコの漁と採り方

※重要:ナマコは漁業権の対象種です。海にいるものを勝手に採ると密漁(特定水産動植物の採捕)となり、3年以下の懲役または3000万円以下の罰金という非常に重い罪に問われます。絶対に無許可で採らないでください。

漁法

船から重りを付けた網を引く「桁網(けたあみ)漁」や、箱メガネで覗きながら竿で引っ掛ける「突き漁」、海女さんによる「潜水漁」で行われます。

ナマコ漁は冬の厳寒期に行われる過酷な漁です。

食材としての評価

「冬至ナマコ」という言葉がある通り、冬になると身が引き締まり、味が良くなります。

夏場は「夏眠(かみん)」といって岩陰で休眠状態になり、身が溶けて小さくなるため食用には向きません。

栄養面では、コラーゲンやコンドロイチンが豊富で、漢方薬(朝鮮人参に匹敵する「海参(ハイシェン)」)としても利用されるほど滋養強壮に良いとされています。

身(体壁)だけでなく、内臓も高級珍味として余すところなく利用されます。

  • このわた:腸を塩辛にしたもの。日本三大珍味の一つ。
  • くちこ(バチコ):卵巣を干したもの。三味線のバチに形が似ていることから。軽く炙ると絶品。

ナマコの料理

家庭で食べる際は、硬い食感を楽しむ「ナマコ酢」が基本です。

ナマコ酢(酢の物)

  1. 両端を落とす:口と肛門(硬い部分)を包丁で切り落とします。
  2. 内臓を出す:お腹を縦に切り、中の内臓を取り出します(内臓は捨てずに「このわた」にできます)。
  3. 塩磨き(重要):たっぷりの塩を振って、タワシやザルでゴシゴシと強く擦ります。これでヌメリと臭みが取れ、身が引き締まります。
  4. 水洗い・カット:塩を洗い流し、薄くスライスします(硬いのが苦手な場合は薄めに、好きなら厚めに)。
  5. 味付け:ポン酢や三杯酢に漬け込み、紅葉おろしやネギを添えます。
    コリコリとした食感と酸味が、冬の食卓を引き立てます。

番茶煮(茶ぶり)

硬いナマコを柔らかくする調理法です。

濃いめに入れた番茶でナマコをサッと煮ます。

お茶のタンニンがタンパク質に作用し、驚くほど柔らかくなります。

歯が弱い方におすすめの食べ方です。

まとめ

ナマコは、グロテスクな見た目の中に、冬の海の旨味と栄養を凝縮させた不思議な生き物です。「赤は柔らかく高級、青は硬く大衆的」と覚えておけば、スーパーや魚屋で選ぶ時に役立ちます。家庭で捌く時の「塩で磨いてヌメリを取る」工程さえクリアすれば、お店で食べるような極上のナマコ酢が楽しめます。寒い季節、熱燗のお供にこの「海の掃除屋さん」を味わってみてはいかがしょうか。

ナマコに関するよくある質問

毒はありますか

マナマコにはホロトキシンというサポニン系の毒素が含まれていますが、これはカビの繁殖を防ぐ防御物質であり、人間が通常食べる量では無害です(むしろ水虫薬の研究などに使われます)。

ただし、熱帯に住む一部のナマコ(ニセクロナマコなど)は強い毒を持っている場合があるため、種類がわからないナマコをむやみに食べるのは避けてください。

市場に流通しているマナマコは安全です。

溶けるって本当ですか

本当です。

ナマコの体は特殊なコラーゲン繊維でできており、漁獲後の温度管理が悪かったり、真水に長く浸けたり、あるいは調理せず放置したりすると、自身の酵素によって体がドロドロに溶けてしまいます(自己融解)。

買ってきたら早めに下処理(塩蔵や酢漬け)をすることが大切です。

内臓(このわた)はどうやって食べますか

取り出した腸の中には砂が入っているので、指でしごき出してきれいに洗います。

その後、重量の10%〜20%程度の塩を混ぜて瓶詰めし、数日間冷蔵庫で熟成させます。

旨味が凝縮され、日本酒に最高に合う「このわた」の完成です。

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この記事を書いた人

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