マダイ

古くから日本人に最も愛され魚の王様として揺るぎない地位を築いているマダイ。鮮やかな桜色の魚体と勇猛な引きそして極上の食味はまさに百魚の王と呼ぶにふさわしい存在です。祝いの席には欠かせない縁起物であり腐っても鯛という言葉があるほどその価値は特別視されています。釣り人にとってはコマセ真鯛やタイラバ一つテンヤなど様々な釣法で狙う永遠の憧れのターゲットでもあります。春の乗っ込みシーズンには桜鯛秋には紅葉鯛と呼ばれ季節ごとに異なる表情を見せるこの美しい魚の生態と攻略法について解説します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | スズキ目タイ科マダイ属 |
| 標準和名 | マダイ |
| 漢字 | 真鯛 |
| 別名 | 本ダイ、オオダイ、チャリコ(幼魚) |
| 学名 | Pagrus major |
| 英名 | Red seabream |
| 季節 | 春(桜鯛)、秋(紅葉鯛) |
| 生息域 | 日本全土の沿岸から沖合(水深30m〜200m) |
マダイとは
マダイは日本列島周辺の海域に広く生息するタイ科の大型魚です。
日本にはタイと名のつく魚が200種類以上いますがそのほとんどはあやかり鯛と呼ばれる別のグループの魚であり分類学上で正真正銘のタイ科に属するのはマダイやクロダイキダイなどわずかです。その中でもマダイは姿形味ともに頂点に位置し単にタイと言えばこのマダイを指します。
寿命は長く20年以上生きる個体もおり1メートルを超える大物はヌシのような貫禄を持っています。七福神の恵比寿様が抱えているのもこのマダイであり日本文化と切っても切れない関係にあります。
マダイの特徴
体色は美しい淡紅色で体側に鮮やかな青色の小斑点が散りばめられています。この青い斑点はコバルトブルーに輝き新鮮な個体ほど鮮明です。
目の上にはアイシャドウと呼ばれる青紫色の眉のような模様があり表情を精悍に見せています。
尾ビレの先端は黒く縁取られておりこれは近縁種のチダイやキダイ(レンコダイ)と見分ける際の重要なポイントになります(チダイやキダイには黒い縁取りがありません)。
歯は頑丈で臼歯が発達しており硬いカニや貝を噛み砕くことができます。
マダイの生態とライフサイクル
食性は肉食性です。エビやカニなどの甲殻類を好みこれらに含まれるアスタキサンチンという色素を摂取することで体が赤くなると言われています。その他にも小魚イカ貝類ウニなど何でも食べる悪食な一面も持っています。
産卵期は春から初夏にかけてです。この時期になると深場から浅場へと大群で押し寄せます。これを乗っ込みと呼び釣り人にとって一年で最も熱くなるシーズンです。この時期のオスは婚姻色で黒ずみメスは鮮やかな桜色になります。
産卵を終えた夏場は麦わら鯛と呼ばれ身が痩せて味が落ちますが秋になると再び食欲が増し冬に備えて脂を蓄えます。これを紅葉鯛と呼び旬の味覚となります。
マダイの分布と生息環境
北海道から九州南西諸島まで日本各地に分布しています。
水深30メートルから200メートル付近の潮通しの良い岩礁帯や砂礫底を好みます。特に海底の起伏が激しい場所や潮流が複雑にぶつかる場所は絶好のポイントとなります。
マダイの釣り方
マダイ釣りは伝統的な釣法から最新のルアーフィッシングまで多岐にわたります。
コマセ真鯛
オキアミを撒き餌にして長いハリスを潮に乗せて漂わせる伝統的な船釣りです。指示ダナ(深さ)を正確に守りコマセと刺し餌を同調させる技術が求められます。竿が海面に突き刺さるような三段引きは釣り人の脳裏に焼き付く快感です。
タイラバ
オモリとネクタイと呼ばれるヒラヒラしたラバーを組み合わせたルアーを使う釣り方です。底まで落として一定の速度で巻くだけというシンプルさながら奥が深く初心者からベテランまで大人気です。アタリがあっても即合わせせず魚が反転するまで巻き続けるのがコツです。
一つテンヤ
エビを餌にした軽いテンヤ仕掛けを使い細いラインでダイレクトにアタリを感じ取る釣法です。マダイの引きをダイレクトに味わえるスリリングな釣りが楽しめます。
マダイ釣りに必要な道具
狙う釣法によって道具は全く異なりますがここでは人気のタイラバのタックルを紹介します。
タイラバタックル
ロッドはタイラバ専用のベイトロッド。食い込みの良い柔らかいティップ(竿先)のものが有利です。
リールはカウンター付きの小型ベイトリール。等速巻きがしやすく水深が分かるものが便利です。
ラインはPEライン0.8号から1.0号を200メートル以上巻きます。リーダーはフロロカーボン3号から4号を長めに取ります。
マダイの料理
捨てるところがないと言われるほど全身が美味です。
刺身・松皮造り
新鮮なマダイは刺身が絶品です。特に皮と身の間に旨味(脂)があるため皮を引かずに熱湯をかけて冷水で締める松皮造り(湯霜造り)にすると皮目の食感と甘みを同時に楽しめます。
鯛めし
マダイを一匹丸ごと土鍋で炊き込む豪華な料理です。焼いた鯛の香ばしさと骨から出た出汁が米一粒一粒に染み渡ります。愛媛県には刺身をタレに漬け込んでご飯に乗せる宇和島鯛めしという別のスタイルもあります。
兜煮(あら炊き)
頭(兜)やカマの部分は最も脂が乗っておりゼラチン質も豊富です。甘辛く煮付けると骨までしゃぶりたくなる美味しさです。目の周りの肉や唇は通好みの珍味です。
鯛の塩焼き
尾頭付きの塩焼きは祝いの席の定番です。シンプルながら鯛本来の味を最も堪能できる調理法です。
まとめ
マダイはその美しさ味釣りの楽しさにおいて他の追随を許さない特別な魚です。釣り上げた瞬間のあの神々しい桜色は何度見ても感動を覚えます。天然物は年々貴重になっていますが自分で釣ったマダイを囲んで食卓を彩ることは釣り人だけに許された最高の贅沢です。
マダイに関するよくある質問
天然と養殖の見分け方は
最も分かりやすいのは体色と鼻の穴です。天然物は鮮やかな桜色で鼻の穴が2つ並んでいますが養殖物は日焼けして黒っぽく鼻の穴が繋がって1つになっていることが多いです。また養殖物は尾ビレが丸く擦り切れていることが多いのに対し天然物はピンと尖って綺麗です。
目の下一尺とはどういう意味ですか
マダイは大きければ大きいほど良いというわけではなく目の下から尾ビレの付け根までの長さが一尺(約30センチメートル)、つまり全長40センチメートルから50センチメートルくらいのサイズが最も脂が乗って美味しいという意味の言葉です。これを超えると大味になりがちです。
鯛の九つ道具とは何ですか
マダイの骨には農具や道具に似た形のものが9種類ありこれらを探しながら食べるのが通の楽しみとされています。鯛中鯛(胸ビレの付け根の骨で鯛の形をしている)や大龍小龍鍬(くわ)鎌(かま)などがありすべて見つけると幸運になれると言われています。































