コノシロ

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江戸前寿司の光り物として欠かせない「コハダ」。その成魚がこのコノシロです。出世魚として名前が変わる縁起の良い魚ですが、成魚になると小骨が多くなるため、市場価値が下がってしまうという少し悲しい運命を持っています。しかし、釣り人にとっては、ランカーシーバス(大型スズキ)が偏食する「コノシロパターン」のベイト(餌)として極めて重要な存在です。堤防からのサビキ釣りで鈴なりに釣れ、酢締めにすれば家庭でもプロの味を楽しめるコノシロの生態と、その独特な文化背景について解説します。

項目内容
分類ニシン目ニシン科コノシロ属
標準和名コノシロ
漢字鰶、鮗、此代
別名シンコ、コハダ、ナカズミ(成長段階による)、ツナシ
学名Konosirus punctatus
英名Dotted gizzard shad
季節秋から冬(旬)、春(シンコ)
生息域日本各地の内湾、汽水域
目次

コノシロとは

コノシロは、日本の内湾や河口域に生息するニシン科の魚です。

成長段階によって名前が変わる出世魚であり、一般的に以下のように呼ばれます。

  1. シンコ(新子): 4cm〜5cm。初夏の寿司ネタとしてキロ数万円で取引される超高級魚。
  2. コハダ(小肌): 7cm〜10cm。江戸前寿司のシンボル。酢と塩加減が職人の腕の見せ所とされます。
  3. ナカズミ: 13cm〜15cm。
  4. コノシロ: 15cm以上。成魚。
    成魚になると骨が硬くなり、価格が暴落するため「逆出世魚」などと揶揄されることもありますが、脂の乗りは成魚が一番です。

コノシロの特徴

体は平たく、銀白色に輝いています。背中側には青緑色の斑点が並んでおり、エラ蓋の後ろに大きな黒い斑点があるのが特徴です。

背ビレの最後の一本が糸状に長く伸びており、これはニシン科の魚によく見られる特徴です。

独特の「キュウリのような匂い」や「金属的な匂い」を持っており、調理の際は酢を使って臭みを消すのが一般的です。

コノシロの生態とライフサイクル

食性

プランクトン食性です。口をパクパクさせながら泳ぎ、泥ごと吸い込んだプランクトンや藻類、有機物をエラで濾し取って食べます。このため、水質があまり良くない湾奥や河口でも大量に繁殖することができます。

繁殖と成長

産卵期は春から初夏(4月〜6月頃)です。内湾の奥や河口域に集まって産卵します。孵化した稚魚(シンコ)は夏に沿岸で成長し、秋にはコハダサイズになります。寿命は3年〜4年程度で、最大で30cm近くまで成長します。

コノシロの分布と生息環境

北海道南部から九州、朝鮮半島、中国などに分布しています。

塩分濃度の低い場所を好み、大きな河川が流れ込む内湾や、汽水域に巨大な群れを作って生息しています。東京湾、伊勢湾、有明海などが有名な生息地です。冬場は少し深場に落ちますが、基本的には一年中浅場で見ることができます。

コノシロの釣り方

コノシロ自体を狙う釣りはサビキ釣りがメインですが、ルアーフィッシングにおいては「コノシロがいるかどうか」が釣果を左右する重要な指標となります。

サビキ釣り

群れに当たれば、仕掛けを落とすだけで鯉のぼり状態で釣れます。口が小さいため、針は小さめのもの(4号〜5号)を選びます。コマセ(アミエビ)への反応も良好です。

引っ掛け釣り(ギャング釣り)

群れの密度が非常に濃いため、大きな針(ボラ掛け針など)で意図的に体に引っ掛ける釣法が行われることもあります。ただし、釣り場によっては禁止されている場合があるため確認が必要です。

コノシロパターン(シーバス・ブリ)

秋から冬にかけて、産卵や越冬のために集まった大型のコノシロを、80cmを超えるランカーシーバスやブリが捕食します。これを「コノシロパターン」と呼びます。この時期は、コノシロに合わせた20cm近いビッグベイト(大型ルアー)を使う豪快な釣りが展開されます。

コノシロ釣りに必要な道具

サビキ釣りなら、安価なセット竿で十分に対応可能です。

タックル

  • ロッド: 磯竿2号〜3号、またはコンパクトロッド。
  • リール: 2000番〜3000番のスピニングリール。
  • ライン: ナイロン2号〜3号。
  • 仕掛け: ママカリサビキやコノシロ専用サビキ。皮付きの針によく反応します。

コノシロの料理

「コノシロは骨が多くて食べられない」と敬遠されがちですが、適切な下処理をすれば絶品です。

酢締め(コハダの酢漬け)

最もポピュラーな食べ方です。三枚におろした後、たっぷりの塩で水分と臭みを抜き、酢に漬け込みます。酢の力で小骨が柔らかくなり、気にならなくなります。

刺身(背越し・糸造り)

新鮮なコノシロは刺身でも食べられますが、骨切りが必須です。ハモのように細かく骨切りをするか、薄く削ぎ切りにします。脂の乗った身は、タイやヒラメにも負けない濃厚な旨味があります。

塩焼き

骨を気にしないのであれば、塩焼きも美味です。焼くことで独特の臭みが和らぎ、脂の旨味が際立ちます。ただし、焼くと「人を焼いたような匂い」がすると言われる伝説(後述)がありますが、実際は魚が焼ける香ばしい匂いです。

まとめ

コノシロは、寿司ネタのスター「コハダ」の親でありながら、釣り場では外道扱いされることも多い魚です。しかし、その群れは海の生態系を支える重要な土台であり、大型フィッシュイーターを呼び寄せる鍵でもあります。大量に釣れた際は、手間を惜しまず酢締めにしてみてください。江戸前の職人が愛する理由が分かるはずです。

コノシロに関するよくある質問

「コノシロを食う」と縁起が悪いのですか?

「コノシロ」という名前が「この城(を焼く)」に通じるため、武士が「腹を切る(切腹)」に通じるとして食べるのを嫌ったという俗説があります。

また、昔話では「娘を城に召し出されたくない親が、娘が死んだことにして身代わりとして棺桶にコノシロを入れて焼き、その匂いで人を納得させた(焼くと人体の焼ける匂いに似ているため)」という伝説があり、「子の代(わ)り」=コノシロとなったという説もあります。もちろん迷信であり、味は絶品です。

骨はどうすればいいですか?

コノシロの骨は硬くて多いため、取ることは不可能です。

  1. 酢で締めて柔らかくする
  2. ハモのように細かく骨切りをする
  3. 唐揚げにして骨までカリカリにする
    のいずれかの方法で調理するのが基本です。

シーバス釣りの「コノシロパターン」の時期は?

地域によりますが、一般的に水温が下がり始める10月後半から1月頃がピークです。河口や港湾部にコノシロの大群が入ると、それを追って大型のシーバスがボイル(捕食)を繰り返す熱いシーズンになります。

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この記事を書いた人

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