ホテイウオ

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七福神の布袋様(ほていさま)のように丸々と太ったユーモラスな体型からその名が付けられたホテイウオ。北海道や東北地方では「ゴッコ」という愛称で親しまれ、冬の訪れを告げる風物詩としてスーパーの鮮魚コーナーに並びます。アンコウにも似たプルプルとしたゼラチン質の体と、お腹にある強力な吸盤が特徴で、普段は深海に住んでいますが、産卵期の冬になると浅瀬にやってきます。その愛嬌のある姿は「キモカワ(気持ち悪いけど可愛い)」として人気があり、水族館のアイドルになることもあります。見た目のインパクトに負けないほど味も良く、特にメスの卵とコラーゲンたっぷりの身を味わう「ゴッコ汁」は北国の家庭料理の定番です。そのユニークな生態や、オスとメスの違い、独特の下処理方法と絶品料理について解説します。

項目内容
分類カサゴ目ダンゴウオ科ホテイウオ属
標準和名ホテイウオ
漢字布袋魚
別名ゴッコ(北海道)、フクヨ(青森)
学名Aptocyclus ventricosus
英名Smooth lumpsucker
季節冬(1月〜3月)
生息域北太平洋、日本海、オホーツク海
目次

ホテイウオとは

ホテイウオは北太平洋の冷たい海を好むダンゴウオ科の魚です。

普段は水深100メートルから200メートル以深の深海で生活していますが、水温が下がる冬から早春にかけて、産卵のために沿岸の岩場や海藻帯などの浅瀬に大挙して押し寄せます。

この時期が漁の最盛期となり、北海道の函館などでは「ゴッコ漁」が盛んに行われます。

体表に鱗はなく、分厚い粘液(ヌメリ)で覆われており、掴むとヌルヌルとしています。

泳ぎはあまり得意ではなく、お腹の吸盤で岩に張り付いて休憩する姿がよく見られます。

ホテイウオの特徴

体長は20センチメートルから30センチメートルほどで、ボールのように丸い形をしています。

最大の特徴は、左右の腹ビレが合体してできた強力な吸盤です。

この吸盤を使って激しい潮流の中でも岩にしっかりと体を固定することができます。

口は大きく、厚い唇を持っています。

オスとメスの違いは見た目と役割に大きく現れます。

産卵期になると、メスは卵を抱えてお腹が大きく膨らみ、体色はやや茶色っぽくなります。

一方、オスは黒っぽい色をしており、メスが産んだ卵を孵化するまで岩陰で守り続ける献身的な習性を持っています。

命懸けで卵を守ったオスは、役目を終えると力尽きて死んでしまうことが多く、海岸に打ち上げられることもあります。

ホテイウオの釣り・採り方

専門の釣り対象魚となることは少ないですが、産卵期には岸壁の足元まで接岸するため、タモ網ですくったり、引っ掛け釣りをしたりして狙うことができます。

ポイントとシーズン

北海道や東北の漁港、岩場がポイントです。

シーズンは1月から3月の厳寒期限定です。

特に夜間、海藻が生えている浅場に寄ってくることが多いです。

捕まえ方

動きが遅いため、目視で見つけたらタモ網で静かにすくうのが最も確実な方法です。

釣り竿を使う場合は、エサ釣りよりも「引っ掛け釣り(ギャング釣り)」のようなスタイルで、見えている魚の近くに針を通し、引っ掛けて釣り上げることが多いです。

エサで狙う場合は、イソメや魚の切り身を使いますが、産卵モードに入っていると食い気が落ちているため難易度が高いです。

注意点

吸盤の力が意外と強いため、タモ網やバケツに張り付くとなかなか取れません。

また、北海道の冬の夜釣りは極寒であり、足元も凍結しているため、防寒対策と安全確保を徹底してください。

食材としての評価

「西のアンコウ、東のゴッコ」と言われることもあるほど、冬の鍋食材として優秀です。

身そのものに強い味はありませんが、皮やヒレに含まれる分厚いゼラチン質(コラーゲン)がプルプルとした独特の食感を生み出します。

メスはお腹にたっぷりと詰まった卵(ゴッコのコ)が珍重され、プチプチとした食感が楽しめます。

オスは卵がない分、身や肝が充実しており、価格もメスより安いですが味は濃厚で美味しいと通に好まれます。

ホテイウオの料理

調理の最大の難関は、体表を覆う大量のヌメリです。これをしっかり取ることで、生臭さのない美味しい料理になります。

下処理(湯通し)

ホテイウオ料理の基本です。

  1. 内臓と卵(メスの場合)を取り出します。肝は美味しいので取っておきます。
  2. 身を大きめのぶつ切りにします。
  3. 沸騰したお湯にサッとくぐらせると、表面が白くなりヌメリが固まります。
  4. 冷水に取り、手でこすってヌメリと薄皮を綺麗に洗い流します。これで準備完了です。

ゴッコ汁

北海道の郷土料理です。

醤油ベースの出汁に、下処理した身、卵、肝、豆腐、長ネギ、大根、生海苔などを入れて煮込みます。

コラーゲンが溶け出したスープはとろみがあり、体の芯から温まります。

卵のプチプチ感と身のプルプル感がたまりません。

唐揚げ

意外な美味しさを発見できる料理です。

下処理した身に、醤油、生姜、ニンニクで濃いめに下味をつけ、片栗粉をまぶして揚げます。

外はカリッ、中はトロッとした食感になり、鶏肉やフグの唐揚げにも似た濃厚な味わいです。

骨も柔らかいので食べやすいです。

煮付け

オスや卵のない時期の個体は煮付けもおすすめです。

甘辛いタレで煮込むと、ゼラチン質が煮汁を吸ってご飯のおかずになります。

肝を溶かしながら食べると濃厚さが増します。

まとめ

ホテイウオ(ゴッコ)は、北国の冬の海が生んだ癒やし系キャラであり、貴重なタンパク源です。吸盤で岩に張り付く姿や、オスが命がけで卵を守る生態は健気で感動的です。釣りやタモ網で採るには極寒の海に挑む必要がありますが、その先にはプルプルのコラーゲンとプチプチの卵が奏でる「ゴッコ汁」という至福の温もりが待っています。スーパーで見かけたら、その布袋様のようなお腹を撫でてからカゴに入れ、北の冬の味覚を楽しんでみてください。

ホテイウオに関するよくある質問

ヌメリ取りは必須ですか

はい、必須です。

ヌメリを残したまま調理すると、生臭さが残り、汁が濁って食感も悪くなります。

熱湯に通して洗う作業(霜降り)をするだけで、見違えるほど美味しくなります。

タワシなどでゴシゴシ洗うよりも、熱湯を使う方が簡単で綺麗に取れます。

オスとメス、どっちが美味しいですか

好みによります。

「ゴッコといえば卵」という人は、迷わずメスを選びます。卵のプチプチ感はこの魚の醍醐味です。

一方、「身のプルプル感や肝の旨味を楽しみたい」「安くたくさん食べたい」という人にはオスがおすすめです。

地元では、出汁が出るオスと卵を楽しむメスを一匹ずつ買って混ぜるのが最高の贅沢とも言われます。

飼育はできますか

見た目が可愛いため飼育したくなりますが、非常に難しいです。

深海魚に近い生態のため、水温を常に低く(10度以下など)保つ必要があり、専用のクーラー設備が必須です。

また、餌付けも難しく、水質の悪化にも弱いため、一般家庭での長期飼育はハードルが高い魚です。

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この記事を書いた人

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