ゴシキエビ

その名の通り「五色(ゴシキ)」に彩られた、南国の海を象徴するカラフルなイセエビの仲間です。黒、青、白、ピンク、緑といった原色が複雑に組み合わさったド派手なボディは、まるで人工のおもちゃや前衛芸術のよう。沖縄や奄美大島などのサンゴ礁に生息しており、ダイバーやアクアリウム愛好家の間では観賞用として人気があります。あまりに色が凄いため「毒があるのでは?」「食べられるの?」と敬遠されがちですが、中身は正真正銘のイセエビ科。味は本家イセエビにも劣らない濃厚な甘みと弾力を持っており、沖縄の公設市場などでは高級食材として並んでいます。その奇抜なデザインの特徴と、巨大なニシキエビとの違い、そして見た目を裏切る極上の味について解説します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | 十脚目イセエビ科ゴシキエビ属 |
| 標準和名 | ゴシキエビ |
| 漢字 | 五色海老 |
| 別名 | ゴシキ(通称)、アカエビ(沖縄の一部) |
| 学名 | Panulirus versicolor |
| 英名 | Painted spiny lobster |
| 季節 | 通年(夏場に見かけやすい) |
| 生息域 | 奄美大島以南、インド・太平洋のサンゴ礁 |
ゴシキエビとは
ゴシキエビは、日本の南西諸島からインド洋、太平洋の熱帯域に広く分布するイセエビ科のエビです。
水深数メートルから20メートルほどの浅いサンゴ礁や、岩の割れ目に潜んでいます。
イセエビの仲間なので大きなハサミは持たず、太くて長い触角を持っています。
夜行性で、夜になるとサンゴの隙間から出てきて活動します。
その美しさから観賞用として生きたまま取引されることも多いですが、沖縄県の那覇などでは食用として市場の生簀(いけす)に入っており、観光客の目を釘付けにしています。
サイズは体長30センチメートル前後が一般的ですが、40センチメートルを超える大型もいます。
ゴシキエビの特徴と「ニシキエビ」との違い
【ド派手なカラーリング】
ベースは青緑色や黒色ですが、そこに鮮烈な模様が入ります。
- 頭胸部(頭):黒と白の幾何学的な模様があり、触角の付け根は鮮やかなピンク色です。
- 腹部(背中):各節の縁に黒い帯と白いラインが入ります。
- 脚:黒地に縦方向の白いストライプが入るのが最大の特徴です。
【ニシキエビとの見分け方】
同じ海域に生息し、同じく派手なエビにニシキエビ(イセエビ科最大種)がいます。
- ゴシキエビ:脚の模様が**「縦縞(ストライプ)」**です。模様は直線的で、色のコントラストがはっきりしています。
- ニシキエビ:脚の模様が**「水玉模様」や「横縞」**です。体全体の模様は複雑なモザイク状や唐草模様に近いです。また、ニシキエビの方が圧倒的に巨大化(5キログラム以上)します。
ゴシキエビの捕まえ方
※重要:イセエビ類には厳格な漁業権が設定されている場所がほとんどです。勝手に捕ると密漁として処罰されます。以下は漁法としての解説です。
漁法
主に素潜り漁(電灯潜り)や刺し網漁で獲られます。
釣りで狙うことは難しく、岩の奥深くに隠れているため、漁師が特殊な道具を使って引きずり出すか、夜間に活動しているところを捕獲します。
食材としての評価
「色が毒々しいから大味なのでは?」と思われがちですが、味は絶品です。
イセエビ科特有のプリプリとした強い弾力と、濃厚な甘みを持っています。
本州のイセエビと比べると、若干あっさりしていると評されることもありますが、ブラインドテストで区別するのは難しいレベルです。
殻が非常に硬いのが難点ですが、加熱しても色が(赤く変色はしますが)独特の鮮やかさを残すため、料理の見た目が非常に豪華になります。
ゴシキエビの料理
見た目のインパクトと味の両方を楽しめる料理がおすすめです。
刺身(活造り)
新鮮なゴシキエビを入手したら、まずは刺身です。
透き通った美しい身は、噛むと口の中で甘みが弾けます。
派手な殻を器にして盛り付けると、南国の宴会料理のような豪華さが出ます。
味噌汁(殻汁)
頭や殻からは非常に濃厚な良い出汁が出ます。
刺身の後の頭を半分に割って味噌汁にすると、イセエビ味噌のコクが溶け出し、最高級のスープになります。
殻の色が汁に映えて鮮やかです。
鬼殻焼き(残酷焼き)
半分に割って、醤油やバターを垂らして網で焼きます。
焼ける香ばしい匂いと、凝縮された身の旨味がたまりません。
バーベキューの主役になれる一品です。
ボイル(サラダ)
シンプルに茹でて、マヨネーズやチリソースで食べます。
茹でると身がキュッと締まり、カニのような繊維感とエビの甘みを楽しめます。
まとめ
ゴシキエビは、南国のサンゴ礁が生んだ「海のファッショニスタ」です。その人工的ですらある配色は、見ているだけで南国気分を盛り上げてくれます。観賞用として水槽で愛でるのも良いですが、食用としても一級品の実力を持っています。沖縄旅行などで市場に並ぶこの派手なエビを見かけたら、怖がらずにその味を確かめてみてください。見た目のインパクトに負けない、極上の甘みが待っています。
ゴシキエビに関するよくある質問
毒はないのですか
あんなに派手な色をしていますが、毒は全くありません。
フグ毒や貝毒なども持っていないため、安心して食べられます。
あの色は、カラフルなサンゴ礁の中での保護色、あるいは「自分は強そうだぞ」と見せるための警戒色と考えられています。
飼育は難しいですか
観賞用として流通しており飼育は可能ですが、難易度はやや高めです。
大型になるため90センチメートル以上の大きな水槽が必要です。
また、水質に敏感で、脱皮の失敗などで死んでしまうこともあります。
餌はアサリやオキアミなどをよく食べます。
どこで食べられますか
本州の一般的なレストランではまず見かけません。
沖縄県や鹿児島県の離島(奄美など)の海鮮居酒屋、ホテルのレストラン、あるいは那覇の公設市場の食堂などで食べることができます。
市場で選んでその場で調理してもらうのが一番確実です。































