ゴマサバ

マサバと並ぶ日本の食卓を支える大衆魚ゴマサバ。その名の通り腹部にゴマを散らしたような黒い斑点があるのが特徴です。マサバが秋から冬に旬を迎えるのに対しゴマサバは夏に脂が乗るため「夏のサバ」として重宝されます。また福岡県の郷土料理には同じ名前の「ゴマサバ」という料理がありますが、これはサバの刺身をゴマ醤油で和えたものであり、必ずしもこのゴマサバという種類の魚を使っているわけではありません(もちろん使われることもあります)。マサバよりも脂肪分が少なくさっぱりとした味わいですが、鮮度の良いものは刺身で食べると絶品です。この身近な青魚の生態と美味しい食べ方について解説します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | スズキ目サバ科サバ属 |
| 標準和名 | ゴマサバ |
| 漢字 | 胡麻鯖 |
| 別名 | マルサバ、ナンブ |
| 学名 | Scomber australasicus |
| 英名 | Blue mackerel / Spotted chub mackerel |
| 季節 | 夏(6月から9月) |
| 生息域 | 本州中部以南の温暖な海域 |
ゴマサバとは
ゴマサバは世界の温帯から熱帯海域に広く分布するサバ科の回遊魚です。
日本近海で獲れるサバ属には主にマサバ(ヒラサバ)とゴマサバ(マルサバ)の2種類がいます。
マサバが冷たい海を好むのに対しゴマサバは暖かい海を好みます。そのためマサバの味が落ちる夏場に漁獲量が増え味が良くなることから季節を補完する重要な存在となっています。
体型がマサバよりも丸みを帯びていることから市場ではマルサバとも呼ばれます。以前はマサバよりも安価で格下に見られることがありましたが、近年ではそのさっぱりとした旨味が見直されブランド化される地域も出てきています。
ゴマサバの特徴
体長は30センチメートルから50センチメートルほどになります。
最大の特徴は腹部の模様です。マサバの腹部は無地の銀白色ですが、ゴマサバの腹部には多数の小さな黒い斑点(ゴマ模様)が散らばっています。ただし鮮度が良すぎるとこの斑点が薄くて見えにくいこともあります。
体の断面はマサバが少し平たい(側扁)のに対し、ゴマサバは円形に近く丸っとしています。
背中の模様はマサバと同様に青緑色のサバ模様が入っていますが、マサバよりも模様が細かく複雑である傾向があります。
背ビレの棘の数でも見分けられ、マサバが9本から10本であるのに対し、ゴマサバは11本から12本(第1背ビレ)あることが多いです。
ゴマサバの生態とライフサイクル
食性は肉食性です。オキアミなどの動物プランクトンやイワシなどの小魚を捕食します。
大きな群れを作って回遊し、高速で泳ぎ回ります。
産卵期は冬から春にかけて(1月から5月頃)で、伊豆諸島周辺や九州近海などの暖かい海域で産卵します。マサバよりも南の海域を主な生息場としており、水温が15度以上の場所を好みます。
成長は早く、1年で30センチメートル近くになります。寿命は6年から7年程度とされています。
ゴマサバの分布と生息環境
日本の本州中部以南の太平洋側、日本海側、東シナ海、オーストラリアやニュージーランド周辺まで広く分布しています。
マサバよりも沖合や深場を好む傾向がありますが、沿岸近くに回遊してくることもよくあります。
特に黒潮の影響を受ける海域に多く生息しており、屋久島や高知県の土佐清水などでブランドサバとして漁獲されています。
ゴマサバの釣り方
堤防からのサビキ釣りや船釣り、ルアーフィッシングで狙えます。マサバ同様に引きが強く、横に走るため釣り味は抜群です。
サビキ釣り・カゴ釣り
回遊があれば堤防から手軽に釣ることができます。
アミエビをコマセ(撒き餌)にして群れを足止めし、サビキ仕掛けを投入します。群れに当たると全ての針に掛かることもあり、強烈な引きで仕掛けを絡ませてしまう「お祭り」に注意が必要です。良型を狙うなら少し沖を狙えるカゴ釣りが有利です。
ライトショアジギング
メタルジグを使ったルアー釣りでも好ターゲットです。
20グラムから40グラム程度のジグを遠投し、表層から中層を早巻きやジャークで誘います。ガツンという衝撃とともに走り出すファイトは青物ならではの楽しさがあります。
船釣り(ビシ釣り)
沖釣りではアジ釣りの外道として釣れることが多いですが、大型のゴマサバは専門に狙う価値があります。マサバと混じって釣れることも多く、釣ったその場で模様を見て判別する楽しみがあります。
ゴマサバの料理
脂質はマサバより控えめですが、身割れしにくく加熱してもパサつきにくい特徴があります。鮮度が良ければ刺身は絶品です。
刺身・シメサバ
夏場のゴマサバは脂が乗っており、刺身にするともちもちとした食感と甘みを楽しめます。
アニサキス対策として一度冷凍するか、酢で締めてシメサバにするのが一般的です。マサバよりも身がしっかりしているため、酢で締めても身が白くなりにくく美しい仕上がりになります。
ゴマサバ(福岡の郷土料理)
魚の名前と同じ料理名ですが、これは福岡県を中心とした九州北部の名物料理です。
新鮮なサバの刺身を、醤油、みりん、すりゴマなどを合わせたタレに漬け込み、薬味(ネギ、海苔、ワサビ)を乗せて食べます。ご飯に乗せてお茶漬けにしても最高です。本来はサバの種類を問わず作られますが、身が締まったゴマサバ(魚)はこの料理に非常に適しています。
竜田揚げ・塩焼き
脂が少ない時期や小型のものは、油を使った料理が合います。
醤油と生姜で下味をつけて揚げた竜田揚げは、ご飯のおかずにもビールのお供にも最適です。もちろん塩焼きにしても美味しく、マサバよりもあっさりとしているため飽きずに食べられます。
味噌煮
サバの味噌煮といえばマサバのイメージが強いですが、ゴマサバで作っても美味です。身が煮崩れしにくいため、きれいな形で仕上がります。少し濃いめの味付けにするのがコツです。
まとめ
ゴマサバは「夏はゴマ、冬はマサバ」と言われるように、日本の四季折々の食卓を支える重要な魚です。腹部の斑点で見分けられるこの魚は、マサバの代用品ではなく、夏にこそ輝く主役級の食材です。特に福岡の郷土料理「ゴマサバ」で味わうその味は、青魚の概念を変えるほどの美味しさがあります。釣れたて新鮮なゴマサバが手に入ったら、ぜひ生食(適切な処理をした上で)やタレ漬けでその食感を堪能してみてください。
ゴマサバに関するよくある質問
マサバとの見分け方は
一番の特徴は「お腹の模様」です。お腹に黒い点々(ゴマ模様)があればゴマサバ、無地の銀色ならマサバです。また、体を輪切りにした時の断面が、丸いのがゴマサバ(マルサバ)、少し平たいのがマサバ(ヒラサバ)です。
アニサキスはいますか
はい、非常に高い確率で寄生しています。内臓周辺だけでなく筋肉内にも入り込んでいることがあるため、生食する場合はマイナス20度で24時間以上冷凍するか、目視で徹底的に除去する必要があります。酢で締めてもアニサキスは死なないので注意してください。福岡のゴマサバも、基本的には鮮度管理が徹底された店や適切な処理をされたものが提供されています。
旬はいつですか
一般的に「夏」が旬です。マサバは産卵後の夏に味が落ちますが、ゴマサバは逆に夏に脂が乗り始めます。この時期のゴマサバはマサバにも負けない脂乗りと旨味を持っています。































