ニホンウナギ

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夏の土用の丑の日に食べるスタミナ食として日本の食文化に深く根付いているニホンウナギ。甘辛いタレの香りが漂う蒲焼きは多くの日本人の食欲を刺激してやみません。しかしその生態は長らく謎に包まれており産卵場所が特定されたのも比較的最近のことです。実は川で成長してから海へ下り遥か南のマリアナ諸島沖まで旅をして産卵するという壮大な一生を送っています。現在は絶滅危惧種にも指定されその資源保護が叫ばれている貴重な魚です。世界中から愛されるこの魚の神秘的な生態や天然物と養殖物の違いそして血に含まれる毒について解説します。

項目内容
分類ウナギ目ウナギ科ウナギ属
標準和名ニホンウナギ
漢字日本鰻
別名ウナギ、マムシ
学名Anguilla japonica
英名Japanese eel
季節秋から冬(天然の旬)、夏(需要期)
生息域日本全土の河川・湖沼、東アジア沿岸
目次

ニホンウナギとは

ニホンウナギは日本を含む東アジアの河川や湖沼に生息するウナギ科の魚です。

古くから万葉集にも詠まれるほど日本人にとっては馴染み深い魚であり夏バテ防止の滋養強壮食材として重宝されてきました。

私たちが普段口にしているウナギの99パーセント以上は養殖物ですがこれらは全て天然の稚魚であるシラスウナギを捕獲して育てたものです。

完全養殖の技術は研究レベルでは成功していますが実用化にはまだ課題が多く天然資源に依存しているのが現状です。

乱獲や環境変化により個体数が激減しており国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは絶滅危惧IB類に指定されています。

ニホンウナギの特徴

体長は通常50センチメートルから1メートルほどになります。

体は細長い円筒形をしており体表は大量の粘液で覆われています。このヌルヌルとした粘液は皮膚呼吸を助けたり浸透圧を調整したりする役割があります。

一見するとウロコがないように見えますが皮膚の下に小さな細長いウロコが埋まっています。

体色は背中側が黒っぽい褐色や暗緑色でお腹側は黄色味を帯びた白色をしていますが海へ下る産卵期になると背中が黒くお腹が銀色に輝く銀ウナギと呼ばれる状態に変化します。

下顎が上顎よりも前に出ており口の中には細かい歯がびっしりと並んでいます。

ニホンウナギの生態とライフサイクル

ニホンウナギのライフサイクルは非常にドラマチックです。

彼らの故郷は日本から2000キロメートル以上も離れた西マリアナ海嶺の海域です。

そこで孵化した幼生はレプトケファルスと呼ばれる柳の葉のような平たい形をしており海流に乗って半年ほどかけて日本近海へとやってきます。

沿岸に近づくと円筒形のシラスウナギへと変態し川を遡上します。

川や湖で5年から10年以上暮らして黄色味を帯びた黄ウナギとして成長した後成熟すると銀ウナギとなって秋から冬にかけて川を下り再び産卵場所であるマリアナの海を目指して旅立ちます。

食性は肉食性で小魚や甲殻類昆虫などを捕食します。

夜行性であり昼間は石垣の隙間や泥の中に潜んでいます。

ニホンウナギの分布と生息環境

日本列島のほぼ全域に分布しており朝鮮半島や中国台湾などの東アジア沿岸にも生息しています。

河川の中流から下流域河口付近の汽水域湖沼などを主な生息場所としています。

水質汚染には比較的強いですが隠れ家となる護岸の隙間や砂泥底が減少したことやダムや堰によって遡上が阻害されることが個体数減少の要因の一つと考えられています。

天然のウナギは利根川や四万十川などの大きな河川や浜名湖や宍道湖などの汽水湖で漁獲されます。

ニホンウナギの漁法と養殖

天然物の漁法としては竹やプラスチックの筒を使った筒漁や針をつけた糸を仕掛ける延縄漁穴釣りなどがあります。

釣り人の間ではミミズや鮎の切り身を餌にしたブッコミ釣り(投げ釣り)が人気で夏の夜の楽しみとなっています。

養殖に関しては冬から春にかけて河口に集まるシラスウナギを灯火を使って集めて捕獲しそれをビニールハウス内の養殖池で半年から1年半かけて育てて出荷します。

シラスウナギは白いダイヤと呼ばれるほど高値で取引されておりその漁獲量は年によって大きく変動します。

ニホンウナギの料理

脂の乗った身は焼くと香ばしくとろけるような食感になります。関東と関西で調理法が異なるのもウナギ料理の面白い点です。

蒲焼き

ウナギ料理の代名詞です。

関東風は背開きにして白焼きにした後一度蒸してからタレをつけて焼きます。蒸すことで余分な脂が落ちてふっくらと柔らかな食感になります。

関西風は腹開きにして蒸さずにそのままタレをつけて香ばしく焼き上げます。皮はパリッとして身はジューシーで脂の旨味をダイレクトに味わえます。

白焼き

タレをつけずに素焼きにしたものです。

ウナギ本来の味を楽しむことができる通好みの食べ方です。わさび醤油や塩で食べると脂の甘みが引き立ちます。日本酒との相性は抜群です。

肝吸い・肝焼き

内臓(肝)も捨てずに利用します。

肝吸いは出汁の効いた吸い物に肝を入れたもので蒲焼きと一緒に提供されることが多いです。

肝焼きは数匹分の肝を串に刺してタレで焼いたものでほろ苦さと濃厚な味が酒の肴に最適です。

うざく・う巻き

蒲焼きをキュウリと酢で和えたうざくはさっぱりとして口直しにぴったりです。

蒲焼きを芯にして卵焼きで巻いたう巻きは出汁の風味とウナギのコクが合わさった上品な一品です。

まとめ

ニホンウナギは日本の夏を彩る特別な魚ですがその一生は海と川を繋ぐ壮大な旅そのものです。私たちが食べているウナギのほとんどは海からやってきた小さな命を大切に育てたものです。絶滅が危惧される今この貴重な食文化を未来に残すためには資源管理と環境保全への理解が不可欠です。ハレの日のご馳走としてウナギを味わう時はその長い旅路に思いを馳せてみてください。

ニホンウナギに関するよくある質問

ウナギの血には毒がありますか

はい毒があります。

ウナギの血液にはイクシオトキシンというタンパク質性の毒が含まれており目に入ると結膜炎を起こしたり口に入ると吐き気や呼吸困難を引き起こしたりする可能性があります。

しかしこの毒は熱に弱く60度以上で数分加熱すると無毒化されるためしっかりと火を通した蒲焼きなどを食べる分には全く問題ありません。刺身で食べられないのはこのためです。

天然と養殖の違いは

見た目の違いとして天然物は背中が黄色っぽく(黄ウナギ)腹側が黄色味を帯びており皮が厚くて弾力があります。養殖物は背中が青っぽく全体的に柔らかいです。

味の違いとして天然物は餌や環境によって風味が異なり川魚特有の香りや強い脂の旨味があります。養殖物は脂乗りが均一で身が柔らかく臭みが少ないのが特徴です。旬の時期も異なり天然は冬眠前の秋から冬が最も美味しいですが養殖は需要に合わせて夏に出荷されます。

梅干しとの食べ合わせは悪いですか

これは迷信です。

医学的や栄養学的な根拠はありません。むしろ梅干しの酸味がウナギの脂っこさを和らげ消化を助ける効果が期待できるため相性は良いと言えます。昔の人が高価なウナギを食べすぎないようにするための戒めや酸味で食が進みすぎてしまうことを防ぐために言われたなど諸説あります。

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この記事を書いた人

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