ホンモロコ

琵琶湖の宝石とも称されコイ科の魚の中で最も美味とされるホンモロコ。古くから京都の食文化を支える高級食材として料亭などで珍重されてきました。本来は琵琶湖の固有種ですがその有用性の高さから日本各地の湖沼へ移植され養殖も盛んに行われています。冬から春にかけて産卵のために接岸してくる時期は釣り人にとっても待ちに待ったシーズンであり繊細なウキの動きに一喜一憂する姿は湖畔の風物詩です。焼き魚や甘露煮にすると骨まで柔らかく上品な旨味が口いっぱいに広がるこの魚の生態と魅力について解説します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | コイ目コイ科タモロコ属 |
| 標準和名 | ホンモロコ |
| 漢字 | 本諸子 |
| 別名 | モロコ、ヤナギモロコ |
| 学名 | Gnathopogon caerulescens |
| 英名 | Willow shiner |
| 季節 | 冬から春(12月から4月) |
| 生息域 | 琵琶湖固有種(各地の湖沼に移植) |
ホンモロコとは
ホンモロコは琵琶湖だけに生息していた日本固有のコイ科の淡水魚です。
名前に付くモロコという言葉は群れで泳ぐ子らという意味の群子(ムレコ)が転じたものや多くの魚という意味の諸子(モロコ)に由来すると言われています。
数あるモロコの仲間の中でも特に味が良く姿形も美しいことから本物のモロコという意味でホンモロコと名付けられました。
琵琶湖の漁獲量は年々減少しており高級魚としての地位を確立していますが近年では休耕田を利用した養殖技術が確立され埼玉県や鳥取県など海のない県でも特産品として生産されています。
京都では春を告げる魚として知られ子持ちのホンモロコの炭火焼きは春の味覚の代表格です。
ホンモロコの特徴
体長は10センチメートルから15センチメートルほどになります。
体型は細長くスマートで一般的なタモロコに比べて頭が小さく口ヒゲが短いのが特徴です。
体色は背中側が緑がかった淡い褐色でお腹側は銀白色に輝いています。
タモロコに見られるような体側の明確な黒い帯や斑点はなく全体的に上品で洗練された印象を与えます。
泳ぎは活発で遊泳力が強く沖合の中層や底層を群れで回遊しています。
その美しい姿からヤナギモロコという別名で呼ばれることもあります。
ホンモロコの生態とライフサイクル
食性は雑食性で動物プランクトンや水生昆虫藻類などを捕食します。
本来は琵琶湖の沖合の深い場所に生息していますが水温が上昇する春(3月から6月頃)になると産卵のために岸辺の浅場や内湖の水草地帯へ大群で押し寄せます。
一度の産卵で数千個の卵を水草の茎や根に産み付けます。
寿命は2年から3年程度と短く多くの個体は産卵を終えると死んでしまいますが一部は生き残って翌年も産卵することがあります。
成長は早く孵化した稚魚はプランクトンを食べて急速に大きくなり秋には10センチメートル程度に成長します。
ホンモロコの分布と生息環境
自然分布は琵琶湖とその流出河川である淀川水系のみとされています。
しかし水産資源として極めて重要であるため古くから山中湖や諏訪湖奥多摩湖など日本各地の湖沼に移植放流されてきました。
そのため現在では琵琶湖以外でも自然繁殖している場所が存在します。
本来の生息環境としては水深のある大きな湖を好み昼間は深場にいて夜間に表層へ浮上する日周移動を行うことが知られています。
ホンモロコの釣り方
春の産卵期に接岸してくる群れを狙う釣りが一般的です。繊細なタックルで数釣りを楽しめます。
ウキ釣り・ミャク釣り
延べ竿を使ったシンプルな仕掛けで狙います。
餌には赤虫(アカムシ)や紅サシを使います。
群れが回遊してくると連続して釣れますがアタリは非常に小さくウキがわずかに沈んだり横に動いたりする程度です。
この微細なアタリを捉えて合わせを入れるゲーム性の高さがベテラン釣り師を夢中にさせます。
冬場の深場に落ちたホンモロコをボートから狙う釣りもあります。
ホンモロコの料理
川魚特有の泥臭さがほとんどなく骨も柔らかいため非常に食べやすい魚です。特に子持ちのメスは絶品とされています。
素焼き・炭火焼き
ホンモロコ本来の味を楽しむ最高の食べ方です。
軽く塩を振って炭火やグリルで焼きます。
香ばしい皮とホクホクとした白身の甘みそしてほろ苦いワタの風味が一体となり日本酒が進みます。
酢味噌や二杯酢生姜醤油をつけて食べるのが京都流です。
甘露煮・佃煮
保存食としても親しまれています。
醤油と砂糖みりんで照りが出るまで煮詰めます。
骨まで柔らかくなり頭から丸ごと食べられます。ご飯のお供やお弁当のおかずに最適です。
南蛮漬け
素焼きや唐揚げにしたものを野菜と一緒に甘酢に漬け込みます。
さっぱりとした味わいで骨も気にならなくなるため子供からお年寄りまで人気があります。
天ぷら
衣をつけてサクッと揚げます。
身の水分が保たれふっくらとした食感になります。
抹茶塩などでシンプルに食べるのがおすすめです。
まとめ
ホンモロコは淡水魚の王様とも呼べる気品と美味しさを兼ね備えた魚です。琵琶湖が生んだこの小さな宝石は長い歴史の中で人々の舌を魅了し続け今では養殖技術によって全国へとその魅力が広がっています。料亭で美しく盛り付けられた焼き魚を味わうのも良いですが春の陽気の中で竿を出し自らの手で釣り上げた銀色の魚体を眺めるのもまた格別の喜びです。
ホンモロコに関するよくある質問
タモロコとの違いは何ですか
最も簡単な見分け方は体型と口ヒゲの長さです。
ホンモロコは細長くスマートで口ヒゲは非常に短く目立ちません。
一方タモロコはずんぐりとしていて頭が大きく口ヒゲが長くはっきりとしています。
またタモロコは体の側面に黒い帯や斑点があることが多いですがホンモロコには目立つ模様はありません。味に関してはホンモロコの方が骨が柔らかく美味とされています。
旬はいつですか
一般的には産卵のために接岸してくる冬から春(12月から4月頃)が旬とされています。
この時期のメスは卵を持っており子持ちモロコとして珍重されます。
また秋に獲れる子持ちではない個体も脂が乗っていて美味しいと言われます。
養殖物は天然物と違いますか
養殖技術の向上により養殖物も天然物に劣らない味を持つようになってきています。
養殖物は安定して供給されるため季節を問わず楽しむことができ泥抜きなどの管理もしっかりされているため臭みがなく食べやすいのが特徴です。
天然物は季節や環境による味の変化や野性味を楽しむことができます。































