アブラガニ

かつてはタラバガニの偽物として世間を騒がせたこともありますが現在ではその実力が正当に評価され安くて美味しいカニとして人気を博しているアブラガニ。タラバガニと同じタラバガニ科に属する巨大なカニであり見た目も味も非常によく似ています。名前の由来は甲羅の表面が油を塗ったように光沢があるからとも身に脂乗りのようなコクがあるからとも言われています。タラバガニよりも価格が手頃であるため食べ放題の店や通販の福袋などで活躍しているこのカニの正体やタラバガニとの決定的な見分け方である甲羅のトゲの数そして焼きガニなどで楽しむジューシーな味わいについて解説します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | 十脚目タラバガニ科タラバガニ属 |
| 標準和名 | アブラガニ |
| 漢字 | 油蟹 |
| 別名 | アオガニ(生体の色から) |
| 学名 | Paralithodes platypus |
| 英名 | Blue king crab |
| 季節 | 通年(冷凍輸入)、漁期は冬 |
| 生息域 | オホーツク海、ベーリング海の水深の深い場所 |
アブラガニとは
アブラガニはオホーツク海やベーリング海などの北太平洋の寒冷な海域に分布するタラバガニ科の大型ガニです。
生物学的にはタラバガニの近縁種であり外見や生態も非常に似通っています。
かつて市場や小売店でアブラガニを高級なタラバガニと偽って販売する表示偽装問題が起きたためマイナスのイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかしアブラガニ自体は決して粗悪な食材ではなくタラバガニに匹敵するボリュームと甘みを持っています。
タラバガニに比べて漁獲量が少なく生息域もやや局地的ですが価格が割安であることからカニをお腹いっぱい食べたいという層から絶大な支持を得ています。
英名ではブルーキングクラブと呼ばれ生きている時は甲羅が青みがかった色をしています。
アブラガニの特徴
甲幅は20センチメートルを超え脚を広げると1メートル以上になる大型種です。
タラバガニと同様にヤドカリの仲間であるため脚は太いものが左右に3本ずつとハサミ脚の計8本しか見えません(小さな第5脚は甲羅の中に隠れています)。
生きている時の体色は背中側が青紫色や青灰色をしておりタラバガニ(紫褐色)とは異なりますが茹でるとどちらも鮮やかな赤色になるため区別が難しくなります。
名前の由来であるアブラ(油)については諸説ありますが甲羅の表面がつるりとしていて油を引いたような光沢があることや身の繊維がタラバガニよりも少ししっとりしていることなどが理由とされています。
味はタラバガニよりもややあっさりとしていますが甘みは強く繊維感もしっかりあります。
タラバガニとの違い
茹でてしまうとそっくりな両者ですが以下のポイントを確認すれば誰でも見分けることができます。
甲羅中央のトゲの数
これが最も確実な見分け方です。
甲羅の真ん中にある心域(ハートマークのようなエリア)にある突起(トゲ)の数を確認します。
タラバガニはこのトゲが6個ありますがアブラガニは4個しかありません。
冷凍のカニなどで甲羅がない場合はこの方法は使えません。
脚の裏側の色
脚の裏側(白っぽい部分)の色を見ます。
タラバガニの脚の裏側は関節付近などが赤く染まっている部分が多いですがアブラガニの脚の裏側は全体的に白く赤みが少ないのが特徴です。
爪の形と大きさ
一般的にアブラガニの方がタラバガニよりもハサミや脚が少し細長くスマートな印象を受けます。
また茹で上がりの赤色がタラバガニほど濃くならず朱色に近い色合いになる傾向があります。
食材としての魅力
タラバガニよりも味が落ちると言われることがありますが実際には並べて食べ比べない限り分からないレベルの違いです。
むしろアブラガニの方が身が柔らかくて食べやすいと感じる人もいます。
何よりタラバガニよりも数割安く手に入るためコストパフォーマンスは抜群です。
カニ鍋やバーベキューなど大量にカニが必要な場面ではアブラガニが最強の味方となります。
アブラガニの料理
肉厚な身を楽しむ料理が適しています。冷凍物は解凍の仕方が味を左右するため冷蔵庫でゆっくりと解凍するのがポイントです。
焼きガニ
アブラガニの旨味を凝縮させるなら焼きガニが一番です。
ホットプレートや網で殻ごと焼くと香ばしい香りが立ち上ります。
水分が適度に飛び甘みが強くなります。
レモンや醤油を少し垂らして食べると至福の味わいです。
カニ鍋・カニしゃぶ
殻から良い出汁が出るため鍋料理にも最適です。
野菜と一緒に煮込むとスープに甘みが溶け出します。
脚の殻を剥いてあるポーションタイプならサッと湯にくぐらせてカニしゃぶにするのもおすすめです。
火を通しすぎると身が硬くなるので半生くらいが食べ頃です。
ボイル(そのまま)
塩茹でされた状態で流通しているものが多いため解凍してそのまま食べるのが最も手軽です。
キッチンバサミで殻を切り開き豪快にかぶりつきます。
繊維に沿って裂ける身の食感とジューシーなエキスを堪能できます。
マヨネーズや三杯酢をつけても美味です。
まとめ
アブラガニはタラバガニの影武者ではなく独自の魅力を持った立派なキングクラブです。青い背中と4つのトゲを持つこのカニは高級化が進むタラバガニに代わって私たちの食卓にカニを食べる喜びを届けてくれます。もし店頭でアブラガニを見かけたら偽物だなんて敬遠せずにそのコストパフォーマンスと確かな味を試してみてください。きっとお値段以上の満足感を得られるはずです。
アブラガニに関するよくある質問
カニ味噌は食べられますか
タラバガニやアブラガニなどのヤドカリの仲間はカニ味噌が固まりにくく茹でると溶け出して流れ出てしまいます。
また味が独特で油っぽくあまり美味しくないと言われているため通常は食用にされません。
茹でる前に取り除いてしまうのが一般的です。
身を食べることに特化したカニと言えます。
旬はいつですか
主な漁場であるオホーツク海などの流氷明け(春頃)や秋から冬にかけて漁獲されますが日本で流通しているものの多くはロシアなどからの輸入冷凍品です。
そのため一年中安定して手に入りますが年末年始の需要期には生の冷凍品なども多く出回ります。
タラバガニと味が違うというのは本当ですか
科学的な味覚分析でも大きな差はないとされていますが食感や風味に微妙な違いはあります。
タラバガニの方が身が太くて弾力が強く味が濃いとされアブラガニはやや繊維が細くしっとりとしていて甘みが強い傾向があります。
また冷凍期間や保存状態による個体差の方が味への影響が大きい場合もあります。































