アミメハギ

海藻の間をヒラヒラと泳ぐ、親指サイズの小さな魚。カワハギをそのままミニチュアにしたような愛らしい姿で、堤防の壁際や藻場でよく見かけます。「カワハギの赤ちゃんかな?」と思われがちですが、これで立派な大人です。釣り人からは「エサ取り名人」として少し邪険にされることもありますが、実は夜になると海藻を口でくわえて眠るという、とんでもなく可愛い特技を持っています。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | フグ目カワハギ科アミメハギ属 |
| 標準和名 | アミメハギ |
| 漢字 | 網目剥 |
| 別名 | ギギ(※他種と混同)、パチク(一部地域) |
| 学名 | Rudarius ercodes |
| 全長 | 5cm〜8cm(非常に小型) |
| 季節 | 夏から秋 |
| 生息域 | 日本各地の沿岸、内湾の藻場(アマモ場など) |
アミメハギとは
アミメハギは、日本中の浅い海に生息する世界最小クラスのカワハギの仲間です。
大人になっても大きさは最大で7〜8センチメートルほどしかありません。
体には名前の由来となった、褐色の**「網目(あみめ)模様」**があり、環境に合わせて体の色を濃くしたり薄くしたりして海藻に擬態します。
泳ぎはあまり得意ではなく、背ビレと尻ビレをパタパタと動かして、ヘリコプターのようにホバリングしながら海藻の周りを漂っています。
子供の網遊びで捕まえたり、サビキ釣りで掛かってきたりする身近な魚です。
特技:お布団(海藻)を噛んで寝る
アミメハギ最大の特徴であり、チャームポイントなのが**「寝相」です。 彼らは体が小さく泳ぎが下手なため、夜寝ている間に潮に流されてしまう危険があります。 そこで、夜になると海藻や海草(アマモ)の端を口でパクッとくわえ、体に巻きつけるようにして眠ります**。
この姿が、まるで「おしゃぶりをして寝ている」ようにも、「布団を抱きしめている」ようにも見え、ダイバーやアクアリウム愛好家の間で大人気です。
カワハギ(幼魚)との見分け方
アミメハギは「カワハギの幼魚」と非常によく似ていますが、以下のポイントで見分けます。
| 特徴 | アミメハギ | カワハギ(幼魚) |
| 大きさ | 7cm程度で成長が止まる | 30cmくらいまで大きくなる |
| 尾ビレの形 | 丸い(団扇型) | 直線的、または少し凹んでいる |
| 体の模様 | 不規則な網目模様 | 斑点や雲状の模様(成長で変わる) |
| 背ビレのトゲ | 目の真上より後ろにある | 目の真上あたりにある |
※一番わかりやすいのは**「尾ビレが丸ければアミメハギ」**です。
食材としての評価
小さすぎて食用にされないことがほとんどです。
しかし、フグの仲間ですが毒はなく、味自体はカワハギそのもので非常に美味しいです。
地域によっては、大量に獲れた場合に味噌汁の具や佃煮として食べられています。
肝(キモ)もカワハギ同様に美味しいですが、マッチ棒の先ほどのサイズしか取れません。
アミメハギの料理
もし持ち帰って食べるなら、小さい魚なりの楽しみ方があります。
味噌汁
最も一般的な食べ方です。
内臓(苦玉=胆嚢に注意)を取り出し、頭ごと味噌汁に入れます。
カワハギ科特有の、上品で非常に良い出汁が出ます。
身をつつくというよりは、出汁を楽しむ料理です。
唐揚げ・素揚げ
下処理をして丸ごと揚げます。
骨が少し硬いですが、二度揚げすればスナック感覚でポリポリ食べられます。
ビールのつまみに最適です。
煮付け
甘辛く煮付けると、小さいながらも身離れが良く、プリッとした白身を味わえます。
数十匹単位で釣れた時の大量消費に向いています。
飼育(アクアリウム)のアイドル
食べるよりも**「飼う」**方が人気かもしれません。
海水魚飼育の入門種として知られており、自分で採集したアミメハギを水槽で飼う人は多いです。
人によく慣れ、エサをねだる仕草や、海藻をくわえて寝る姿を間近で観察できるため、非常に癒やされるペットになります。
(※ただし、他の魚のヒレをかじったり、エサを取り上げたりする気の強い一面もあります)。
まとめ
アミメハギは、海藻の森に住む小さな忍者です。網目模様の迷彩服を着ていますが、夜になると流されないように海藻にしがみついて寝るという、愛らしすぎる弱点を持っています。釣り人にとってはエサを掠め取る邪魔者かもしれませんが、その小さな口で一生懸命生きている姿を観察してみると、意外な発見があるかもしれません。
アミメハギに関するよくある質問
毒はありますか?
毒はありません。
フグ目ですが、アミメハギにはテトロドトキシンなどの毒はないとされています。
ただし、内臓(特に胆嚢)を潰すと苦いので、調理の際は取り除くのが基本です。
どうやって捕まえますか?
釣る場合は、タナゴ針などの「極小の針」にオキアミの欠片をつけて、岸壁の際(ヘチ)を探ると簡単に釣れます。
また、海藻が生えている場所をタモ網でガサガサとすくうと、網に入ってくることも多いです。
ソウシハギ(毒魚)の子供ではないですか?
違います。
ソウシハギは、青い波線模様があり、内臓に猛毒(パリトキシン)を持つ危険な魚です。
アミメハギは地味な褐色なので見分けられますが、カワハギ科の魚は似ているものが多いので、怪しい派手な魚は食べないようにしましょう。































