エイ

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水族館ではその優雅に泳ぐ姿や、裏側から見た時の「笑っているような顔(鼻孔と口)」が人気ですが、釣り人にとっては恐怖と厄介さの象徴であるエイ。特に浅瀬に生息するアカエイなどは、尾に強力な毒棘(どくばり)を持っており、刺されると激痛と壊死を引き起こす危険生物です。海底の砂に潜って身を隠しているため、海水浴や潮干狩りで誤って踏んでしまう事故も後を絶ちません。しかし、その危険な武器とアンモニア臭さえ克服すれば、フランス料理では高級食材として扱われ、日本の居酒屋でも「エイヒレ」として愛される美味しい魚でもあります。軟骨魚類特有の生態や、危険な毒針への対処法、そして煮こごりが絶品となる料理について解説します。

項目内容
分類軟骨魚綱板鰓亜綱エイ区(トビエイ目、ガンギエイ目など)
代表種アカエイ、トビエイ、ガンギエイ、マンタ
漢字鱏、鱝、鰩
別名ザブトン(大型個体の俗称)、カブトガニ(地方名)
英語Ray(アカエイなど), Skate(ガンギエイなど)
季節夏(浅場に来る)、冬(肝が美味い)
生息域世界中の海、一部の淡水域
目次

エイとは

エイは、サメと同じ「軟骨魚類」に属する魚です。

サメとの最大の違いは「エラ穴の位置」にあります。サメのエラ穴は体の側面にあるのに対し、エイのエラ穴は体の腹側(裏側)にあります。

世界中に500種以上が生息しており、大きく分けて、尾に毒棘を持ち卵胎生(お腹の中で孵化して子供を産む)の「トビエイ目(アカエイなど)」と、毒棘を持たず卵生(卵を産む)の「ガンギエイ目」などが存在します。

日本近海で最も馴染み深く、釣りや潮干狩りで遭遇しやすいのはアカエイです。

肉食性で、海底の貝類、甲殻類、小魚などを捕食します。

エイの特徴と危険な毒

【独特のフォルム】

体は上下に押しつぶされたように平たく、胸ビレが大きく発達して「体盤(たいばん)」と呼ばれる円盤状やひし形になっています。

裏側にある目や口のように見える部分は、実際には「鼻孔」と「口」であり、目は背中側にあります。

【恐怖の毒棘】

アカエイなどの尾の中ほどには、1本から数本の長く鋭い棘があります。

この棘はノコギリ状の返しが付いており、一度刺さると抜けにくく、無理に抜こうとすると傷口を広げてしまいます。

棘の表面にはタンパク質性の毒があり、刺されるとハンマーで殴られたような激痛が数時間から数日続き、重症化するとアナフィラキシーショックや患部の壊死を引き起こします。

死んだ個体や切り落とされた棘でも毒は残っているため、絶対に素手で触れてはいけません。

エイの釣り方

狙って釣る人は少ないですが、投げ釣りの最強の外道として掛かります。

ポイントとシーズン

砂浜、河口、堤防周辺の砂泥底を好みます。

水温が高い夏から秋にかけて浅場に接岸してきます。

ファイトの特徴

「海底のダンプカー」や「巨大な座布団」と形容されます。

掛かると海底に張り付いて動かなくなることがあり、これを剥がすのには相当な力が必要です。

張り付きから動き出すと、トルクのある重たい引きで泳ぎ回ります。

取り込みと処理

海面まで上げても、尾を振り回して暴れるため非常に危険です。

タモ網に入れる際は、網の目を棘で切られないように注意が必要です。

持ち帰る場合もリリースする場合も、まずはプライヤーなどで尾を掴み、棘を折るか尾ごと切断して無力化するのが最優先です。

「裏返すと大人しくなる」という習性がありますが、油断は禁物です。

食材としての評価

「エイはアンモニア臭い」と言われますが、これは体内の浸透圧調整のために尿素を蓄えているからです。

死後、時間が経つと尿素がアンモニアに分解されるため臭いが出ます。

しかし、新鮮なうちは臭みはなく、むしろ非常に美味です。

身は繊維質で鶏肉のような食感があり、軟骨はコリコリとしています。

特に肝臓(キモ)は「海のフォアグラ」と呼ばれるほど濃厚ですが、寄生虫のリスクと鮮度管理の難しさから、釣り人の特権的な食材です。

フランス料理ではムニエルなどが定番の高級料理です。

エイの料理

ゼラチン質を生かした煮込み料理が定番です。ヒレは乾燥させて炙ります。

煮付け(煮こごり)

エイ料理の王道です。

皮のヌメリを湯通しして取り除き、ぶつ切りにした身を甘辛い煮汁で煮込みます。

身はホロホロと柔らかく、軟骨まで食べられます。

冷やすと煮汁がゼリー状に固まり「煮こごり」になります。これが熱々のご飯に乗せると溶け出して絶品です。

唐揚げ

アンモニア臭が気になる場合や、子供向けには唐揚げがおすすめです。

下味をしっかりつけて揚げると、身は鶏肉のようにジューシーで、軟骨のコリコリ感がアクセントになります。

臭みも油で揚げることでほとんど気にならなくなります。

エイヒレ

居酒屋の定番メニューです。

主にガンギエイなどのヒレを乾燥させ、味醂や砂糖で味付けしたものです。

軽く炙って七味マヨネーズをつけると、日本酒との相性が抜群です。

ヌタ(酢味噌和え)

新鮮な身を茹でて、酢味噌で和えます。

さっぱりとしていて、エイ独特の歯ごたえを楽しめます。

まとめ

エイは、水族館の癒やし系アイドルとしての顔と、海辺の危険生物としての顔、そして知る人ぞ知る美食材としての顔を持つ多面的な魚です。釣り場や海遊びで遭遇した際は、まず「毒棘」に最大限の警戒をしてください。しかし、その危険を乗り越えて持ち帰れば、コラーゲンたっぷりの煮こごりや、絶品の唐揚げが待っています。見た目で判断せず、正しく恐れて正しく味わうのがエイとの付き合い方です。

エイに関するよくある質問

刺された時の応急処置は?

エイの毒はタンパク質性で「熱に弱い」という特徴があります。

刺されたらすぐに棘を抜き(抜けない場合はそのまま)、傷口を洗浄した後、火傷しない程度のお湯(45度〜50度くらい)に患部を浸します

温めることで毒が不活性化し、激痛が和らぐことが多いです。

あくまで応急処置ですので、その後速やかに病院で診察を受けてください。

アカエイとマンタは同じ仲間ですか?

広い意味では同じエイの仲間ですが、グループが異なります。

アカエイはトビエイ目アカエイ科で、海底で生活し毒棘を持ちます。

マンタ(オニイトマキエイ)はトビエイ目トビエイ科で、中層を泳ぎ毒棘を持ちません(プランクトン食)。

臭みを消す方法は?

とにかく「鮮度」と「血抜き」が命です。

釣り上げたらすぐに血抜きをし、冷やして持ち帰ります。

調理前には、酒や牛乳に浸すことで臭みをある程度抜くことができます。

アンモニア臭が強烈に出ているものは、腐敗が進んでいる可能性があるため食べるのを避けてください。

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この記事を書いた人

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