アブラツノザメ

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背ビレの前に鋭い「角(ツノ)」のような棘(トゲ)を持ち、肝臓にはたっぷりと「油(アブラ)」を蓄えていることからその名が付いたアブラツノザメ。世界中の海に生息しており、かつてはフィッシュ・アンド・チップスの白身魚として、あるいは肝油(スクワレン)の原料として大量に捕獲されてきた歴史を持つサメです。日本では主に東北や北海道で「ボウズ」や「ムキサメ」と呼ばれ、冬の重要なタンパク源として親しまれてきました。アンモニア臭がキツイというサメのイメージを覆すほど、その身は柔らかくてクセのない上質な白身であり、骨(軟骨)まで食べられるのも魅力です。危険な毒針を持つ一方で、捨てるところがないと言われる万能なサメの生態や、美味しい食べ方について解説します。

項目内容
分類ツノザメ目ツノザメ科ツノザメ属
標準和名アブラツノザメ
漢字油角鮫
別名ツノザメ、ボウズ(剥いた状態)、ムキサメ
学名Squalus acanthias
英名Spiny dogfish
季節冬から春
生息域日本各地(特に北日本)、世界の冷たい海域の底層
目次

アブラツノザメとは

アブラツノザメは、水深50メートルから200メートル以深の海底付近に群れを作って生息する底生性のサメです。

世界で最も個体数が多いサメの一つと言われてきましたが、乱獲により近年は数が減少しており、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは絶滅危惧種(VU)に指定されています(※日本国内での消費は管理下で行われています)。

名前の由来は、2つの背ビレの前にそれぞれ1本ずつある鋭い棘(ツノ)と、体重の20%以上を占めることもある巨大な肝臓(油)から来ています。

この肝臓から採れる油は、サプリメントや化粧品に使われる「スクワレン」の原料として非常に価値が高いものです。

食文化としては、青森県や北海道などの北日本で特に馴染みが深く、皮を剥いて棒状にしたものが「棒鮫(ぼうざめ)」としてスーパーに並びます。

アブラツノザメの特徴と危険な棘

【背ビレの棘(毒針)】

第一背ビレと第二背ビレの直前に、太くて鋭い**棘(トゲ)**が生えています。

この棘には弱いながらも毒があり、刺さると激しく痛んで腫れることがあります。

漁師さんは網から外す際にこの棘を非常に警戒します。

市場で売られている切り身や、皮を剥かれた状態(ボウズ)のものでは、既に除去されていることがほとんどです。

【臀(しり)ビレがない】

ツノザメ目の特徴として、お腹の下にある「臀ビレ」がありません。

また、体には白い斑点が散らばっていることが多く、英名では「Spotted(斑点のある)」と呼ばれることもあります(成長や個体により消えることもあります)。

【卵胎生】

卵を産むのではなく、親のお腹の中で卵を孵化させ、子ザメの姿で産む「卵胎生」です。

妊娠期間は2年近くにも及び、脊椎動物の中で最も長い部類に入ります。

アブラツノザメの漁

主に底引き網漁や延縄漁で漁獲されます。

深海釣り(オニカサゴやキンメダイ狙い)の外道として釣れることもあり、釣り人にとっては仕掛けをグチャグチャにしたり、ハリスを切ったりする厄介者ですが、持ち帰れば美味しく食べられます。

食材としての評価

「サメはアンモニア臭い」という先入観を持たれがちですが、新鮮なアブラツノザメは臭みがほとんどなく、非常に美味しい魚です。

身は純白でふわふわと柔らかく、鶏肉(ササミ)と白身魚の中間のような食感です。

加熱しても硬くなりにくく、骨はすべて軟骨なので、煮込めばコリコリとした食感を楽しむことができ、カルシウムも摂取できます。

ちくわや蒲鉾などの練り製品の原料としても最高級品とされています。

アブラツノザメの料理

煮付けが定番ですが、洋風のフライも絶品です。

煮付け

東北地方の家庭料理の定番です。

ぶつ切りにした身を、醤油、砂糖、酒、生姜で甘辛く煮付けます。

身は箸で簡単にほぐれるほど柔らかく、軟骨のコリコリ感がアクセントになります。

冷めると煮汁が「煮こごり(ゼリー状)」になり、これもまた美味です。

フライ・唐揚げ

イギリスのフィッシュ・アンド・チップスに使われていたのがこのサメ(または近縁種)であることからも分かる通り、揚げ物との相性は抜群です。

淡白な白身は油とよく合い、外はカリッ、中はジューシーに仕上がります。

骨がない(または軟骨で食べられる)ので、子供でも安心して食べられます。

ぬた(酢味噌和え)

湯通しした身を酢味噌で和えます。

さっぱりとしていて、サメのモチモチとした食感を楽しめます。

皮のゼラチン質も美味しいです。

ムニエル

バターでソテーし、レモンを絞っていただきます。

クセがないので、どんなソースにも馴染みます。

カレー粉をまぶして焼くのもおすすめです。

まとめ

アブラツノザメは、肝油という宝と、美味しい白身を持った深海の恵みです。背中のツノには毒がありますが、それを処理してしまえば、骨まで愛せる万能食材となります。北日本のスーパーで、皮を剥かれて白い棒のようになったサメを見かけたら、それはアブラツノザメです。怖がらずに煮付けやフライにしてみてください。サメに対するイメージが「臭い」から「美味い」へとガラリと変わるはずです。

アブラツノザメに関するよくある質問

アンモニア臭はどうすれば消えますか

サメ類は体内に尿素を蓄える習性があるため、鮮度が落ちるとアンモニア臭が発生します。

しかし、最近の流通しているものは処理が早いため、そこまで臭うことはありません。

もし気になる場合は、調理前に切り身を牛乳に浸すか、熱湯をかけて霜降り(湯通し)にすると臭みが消えます。

生姜やニンニクを多めに使うのも効果的です。

棘の毒は危険ですか

刺されるとズキズキと痛み、赤く腫れ上がりますが、命に関わるような猛毒ではありません。

ただし、傷口から雑菌が入ることもあるため、もし釣り上げて刺さった場合は、患部を洗って消毒し、痛みが続くようなら病院へ行ってください。

死んだ個体でも棘は鋭いので注意が必要です。

肝油(スクワレン)は何に良いのですか

アブラツノザメの肝臓に含まれるスクワレン(スクアレン)は、酸素を体に行き渡らせる作用や、美肌効果(保湿)、免疫力向上などが期待され、サプリメントとして広く利用されています。

昔は「鮫肝油」として、ドロップにして子供の栄養補給に使われていました。

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この記事を書いた人

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