トラフグ

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冬の味覚の王様として君臨しその危険な毒と引き換えにしても味わいたいと思わせる魔性の魚トラフグ。淡白ながらも底知れぬ旨味を持つ身とゼラチン質の皮そして濃厚な白子は食通たちを唸らせ続けています。テトロドトキシンという猛毒を持つため取り扱いには専門の免許が必要ですがそのリスクを冒してでも食べ継がれてきた歴史がこの魚の偉大さを物語っています。下関や大阪などで独自の食文化を育み鉄砲(当たると死ぬ)という隠語でも愛されるこの高級魚の生態と魅力について解説します。

項目内容
分類フグ目フグ科トラフグ属
標準和名トラフグ
漢字虎河豚
別名オオフグ、ホンフグ、モンフグ
学名Takifugu rubripes
英名Tiger puffer / Japanese pufferfish
季節冬(12月から2月)
生息域日本近海(北海道以南)、東シナ海
目次

トラフグとは

トラフグはフグ科の中でも最も大型に成長し最も味が良いとされる最高級種です。

日本近海には多くのフグが生息していますが食用として流通しているフグの中で王様と呼ばれるのがこのトラフグです。

歴史は古く縄文時代の貝塚からもフグの骨が見つかっていますがその毒性の強さから長らく禁食と解禁が繰り返されてきました。明治時代に伊藤博文が下関でフグを食しその味に感動して禁食令を解いたという逸話は有名です。

現在では天然物は非常に高価で希少ですが養殖技術が発達しており市場に出回るトラフグの多くは養殖ものとなっています。

トラフグの特徴

体長は70センチメートル体重10キログラム近くに達することもあります。

体型は太短い棍棒状で腹部は膨らませることができます。

最大の特徴は胸ビレの後ろにある大きな黒い斑紋です。この斑紋の周囲と背ビレの付け根付近に白い線で囲まれたような模様があり名前の通り虎を連想させます。

また背面と腹面には小さな棘が密生しており触るとザラザラしています。

口には非常に強力な4枚の歯板がありペンチのような破壊力を持っています。

毒性は非常に強く卵巣と肝臓は猛毒腸は強毒皮膚は強毒とされていますが精巣(白子)と筋肉(身)は無毒です。

トラフグの生態とライフサイクル

食性は肉食性です。強靭な歯と顎を使ってカニやエビなどの甲殻類貝類ウニなどを殻ごと噛み砕いて捕食します。小魚を襲うこともあります。

産卵期は春から初夏にかけてです。この時期になると外洋から内湾や沿岸の浅場に移動し産卵します。この一斉に押し寄せる群れを狙った乗っ込み漁は春の風物詩です。

孵化した稚魚は夏の間は浅場で成長し秋になると深場へと移動します。成長速度は比較的早く1年で20センチメートルから30センチメートルほどになります。

トラフグの分布と生息環境

北海道南部から九州東シナ海黄海にかけて分布しています。

特に瀬戸内海や九州北西岸日本海側は天然トラフグの主要な産地として知られています。

外洋性の魚であり回遊を行いますが産卵期には内湾の特定の場所に集まる習性があります。海底の砂泥底や岩礁帯を好み水深数メートルから100メートル以上の深場まで幅広く生息しています。

トラフグの釣り方

カットウ釣り

トラフグ釣りと言えばカットウ釣りが代名詞です。

これは餌を食わせるのではなく餌に寄ってきたフグを掛け針で引っ掛けるという独特の釣法です。

オモリの下に餌(アオヤギやエビ)を付けさらにその下にイカリ型の掛け針をセットした専用仕掛けを使います。

フグは餌をついばむように食べるためその微細なアタリを感じ取って即座に合わせを入れ下の掛け針でフグの体や顎を貫きます。非常に繊細な感度と反射神経が要求されるゲーム性の高い釣りです。

鋭い歯でハリスを噛み切られることが多いためワイヤーなどで補強された仕掛けが必須です。

食わせ釣り

カットウ釣りとは異なり通常の針に餌を付けて口にフッキングさせる釣り方です。

しかしトラフグの歯は金属をも切断するほど鋭利なため針の軸が長い専用のフグ針やネムリ針を使用します。

餌にはエビの切り身やイカなどを使います。アタリがあっても早合わせは禁物でしっかりと食い込ませるタイミングが重要ですが飲まれるとハリスを切られるリスクが高まるというジレンマとの戦いになります。

トラフグの料理

てっさ(フグ刺し)

トラフグの真骨頂は刺身にあります。

フグの身は繊維が強く弾力があるため普通の刺身の厚さでは噛み切るのが大変です。そのため皿の絵柄が透けて見えるほど薄く引く薄造りという技法が用いられます。

箸で数枚をまとめてすくいネギや紅葉おろしを薬味にポン酢でいただくと淡白な中から上品な甘みと旨味が溢れ出します。

てっちり(フグ鍋)

冬の定番料理であるフグ鍋です。関西では鉄砲(フグ)のちり鍋という意味でてっちりと呼ばれます。

骨付きのアラから出る濃厚な出汁は絶品で野菜や豆腐に旨味が染み込みます。加熱することで身の弾力が増しプリプリとした食感を楽しめます。締めの雑炊はフグの全ての旨味が凝縮された至高の一品です。

白子焼き

オスの精巣である白子は冬の時期にしか味わえない貴重な部位です。

軽く塩を振って炭火やオーブンで焼くと表面は香ばしく中はトロトロのクリーム状になります。濃厚でクリーミーな味わいは一度食べると忘れられない美味しさです。

ヒレ酒

トラフグのヒレを天日で乾燥させこんがりと狐色になるまで炙って熱々の日本酒に入れたものです。

香ばしい香りとフグの旨味成分であるアミノ酸が酒に溶け出し黄金色の極上の酒に変わります。寒い冬に体を温める最高の贅沢です。

唐揚げ

骨付きの身(アラ)や中落ちなどを唐揚げにします。

鶏肉のような食感とフグ特有の旨味がありゼラチン質の皮の部分がジューシーで美味です。骨までしゃぶり尽くしたくなる美味しさです。

まとめ

トラフグは猛毒を持つ危険な魚でありながらそれを乗り越えてでも食べたいと思わせるだけの魅力を持った魚です。先人たちの犠牲と研究の上に確立された調理法により私たちは安心してその味を堪能することができます。薄造りの美しさ鍋の温かさ白子の濃厚さ。冬の味覚の頂点に立つトラフグは日本の食文化の深さを象徴する存在と言えるでしょう。

トラフグに関するよくある質問

自分で釣ったフグを料理しても良いですか

絶対にやめてください。トラフグの卵巣や肝臓にはテトロドトキシンという青酸カリの数百倍とも言われる猛毒が含まれており微量でも摂取すれば死に至る可能性があります。毒のある部位の判別や除去には専門的な知識と技術が必要であり都道府県知事の免許を持つフグ調理師だけが調理を許されています。釣れた場合は必ず専門の業者に持ち込んで捌いてもらうかリリースしてください。

養殖のトラフグには毒がないのですか

養殖のトラフグは毒のない餌を与え毒のない環境で育てることで無毒化することが可能とされています。実際に毒を持たない養殖フグも生産されていますが現在の日本の食品衛生法では天然か養殖かを問わず肝臓などの有毒部位の販売は禁止されています。これは無毒とされる養殖フグでも何らかの要因で毒化する可能性を完全に否定できないためです。

旬はいつですか

一般的に冬の12月から2月頃が旬とされています。この時期は産卵に向けて栄養を蓄えており身が充実し白子も大きくなるためです。彼岸フグという言葉があるように春のお彼岸頃まで美味しく食べられますが産卵を終えると身が痩せて味が落ちます。

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この記事を書いた人

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