アメフラシ

当ページのリンクには広告が含まれています。
NO IMAGE画像

春の磯遊びでタイドプールを覗くと巨大なナメクジのような生物がのっそりと動いている姿を見かけます。それがアメフラシです。突っつくと紫色の液体を出しそれが雨雲のように広がることからアメフラシ(雨降らし)の名がつきました。グロテスクな見た目と毒々しい紫色の液体のせいで敬遠されがちですが英名ではシーヘア(海のウサギ)と呼ばれる愛嬌のある一面も持っています。海藻を食べて磯の環境を守る役割や一部の地域では食用にされるなど意外と人との関わりが深いこの不思議な軟体動物について解説します。

項目内容
分類腹足綱後鰓亜綱無盾目アメフラシ科
標準和名アメフラシ
漢字雨降らし、雨虎
別名ウミシカ、ウミウシ(混同されることが多い)
学名Aplysia kurodai
英名Sea hare
季節春から初夏
生息域日本各地の沿岸の岩礁帯、海藻が多い浅瀬
目次

アメフラシとは

アメフラシは日本全国の岩礁海岸に生息する大型の軟体動物です。

分類上はサザエやアワビと同じ巻貝の仲間ですが貝殻は退化して体の中に小さな板状として残るのみとなり体は柔らかい肉質で覆われています。

ウミウシと混同されることが多いですがウミウシが肉食性で鮮やかな色彩を持つのに対しアメフラシは草食性で地味な色彩を持ち体がはるかに大きいという違いがあります。

春になると産卵のために浅瀬に大量に集まってくるため春の海を象徴する生物の一つとなっています。

アメフラシの特徴

体長は15センチメートルから30センチメートルほどになり手で持つとずっしりとした重さがあります。

体色は黒褐色や暗緑色に白っぽい斑点が入るのが一般的ですが食べている海藻の種類によって赤っぽくなったり緑っぽくなったりと変化します。

頭部には角のような突起が2本ありこれがウサギの耳のように見えることから英名ではシーヘア(海のウサギ)と呼ばれています。

刺激を受けると背中の紫汁腺から紫色の液体を噴射します。これは外敵の視界を遮ったり食欲を減退させたりするための防御行動だと考えられています。この液体にはアプリシオビオリンという成分が含まれています。

アメフラシの生態とライフサイクル

食性は植物食性です。ワカメ、アオサ、コンブなどの海藻を削り取って食べます。旺盛な食欲で成長し海藻が生い茂りすぎるのを防ぐ役割も果たしています。

繁殖期は春です。アメフラシは雌雄同体といって一つの個体がオスとメスの両方の生殖機能を持っています。そのため繁殖期には数匹から十数匹が縦に連なって交尾をする連鎖交尾という独特の行動が見られます。

産卵された卵はウミゾウメン(海素麺)と呼ばれます。黄色やオレンジ色をした麺状の卵塊で岩や海藻に産み付けられます。見た目がラーメンやモンブランのようにも見え春の磯でよく見かける光景です。寿命は1年から2年ほどで産卵を終えると多くの個体が夏前に死んでしまいます。

アメフラシの分布と生息環境

北海道から沖縄まで日本各地の沿岸に広く分布しています。

波の静かな内湾や岩礁帯の潮間帯(潮の満ち引きで海面が出たり入ったりする場所)を好みます。特に春先は水深数十センチメートルの浅瀬にまで上がってくるため子供でも簡単に捕まえることができます。

アメフラシと釣り

釣り人にとってはあまり歓迎できない存在です。

投げ釣りやウキ釣りをしていると海底の海藻ごと仕掛けに絡みついてくることがあります。魚のような引きはなく重たいゴミが掛かったような感触で上がってきます。

釣り上げた際に不用意に触ると紫色の液体を出され服や釣具を汚されてしまうことがあります。この色素は落ちにくいため注意が必要です。また大量のヌメリを出すためハリスがヌルヌルになり仕掛けが使い物にならなくなることもあります。

アメフラシの料理・毒性

一般的には食用とされませんが一部の地域では郷土料理として食べられています。

島根県や千葉県の食文化

島根県の隠岐諸島や千葉県の房総半島の一部ではアメフラシを茹でて酢味噌和えや煮付けにして食べる文化があります。

ただしアメフラシは海藻由来の毒成分を体内に蓄積している可能性があるため調理には専門的な知識と丁寧な下処理が必要です。内臓を取り除き紫色の汁が完全に出なくなるまで何度も茹でこぼす必要があります。

身はサザエのようなコリコリとした食感があり珍味として好まれます。

ウミゾウメン(卵)の食用

卵塊であるウミゾウメンも食用にされることがあります。生で食べるのではなく湯通しして三杯酢などで食べます。シャキシャキとした独特の食感があります。

なお海藻の紅藻類にもウミゾウメンという同名の海藻がありますがこれは全く別のものです。

アメフラシの毒性への注意

アメフラシの皮膚や紫色の汁にはテルペン類などの毒性成分が含まれていることがあります。触った手で目を擦ったりすると炎症を起こすことがあるため触れた後は必ず手を洗うようにしてください。専門知識がない個人の判断で調理して食べることは避けた方が無難です。

まとめ

アメフラシは春の訪れとともに磯に現れるユーモラスな生き物です。紫色の雨を降らせる不思議な能力やウサギのような耳を持つ姿は観察していて飽きません。釣り人にとっては厄介者かもしれませんが海藻を食べ海のバランスを保つ重要な役割を担っています。もし磯遊びで見かけてもむやみにイジメて紫色の液を出させたりせず静かに観察してあげてください。

アメフラシに関するよくある質問

ウミウシとの簡単な見分け方は

大きさで見分けるのが一番簡単です。アメフラシは握り拳よりも大きく30センチメートル近くになりますが一般的なウミウシは数センチメートル程度の小型のものがほとんどです。またアメフラシは地味な色で海藻を食べウミウシはカラフルでカイメンなどを食べる肉食性という違いがあります。

紫色の液は服につくと落ちませんか

非常に落ちにくいです。アメフラシの紫色の成分は古くは染料として使われていたこともあるほど定着力が強いものです。服についた場合はすぐに洗い流す必要がありますがシミになる可能性が高いため汚れても良い服装で磯遊びをすることをおすすめします。

飼育はできますか

海水魚用の水槽で飼育することは可能ですがおすすめはしません。大量の海藻を食べるため餌の確保が大変であることと驚いた時に紫色の液を出して水を汚し他の魚を死なせてしまうリスクがあるためです。また寿命が短く春に採集しても夏までには寿命を迎えてしまいます。

NO IMAGE画像

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

役に立ったらシェアしよう♪
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

CASTは、「釣りを、もっと身近に、もっと楽しく」をテーマに、釣り人(アングラー)に向けた釣り専門メディアです。

釣り初心者が知りたい基礎知識から、ベテランアングラーも唸るような上級者向けのテクニック、さらには最新の釣具レビューや穴場スポットの情報まで、質の高いコンテンツを発信しています。

「読んだら、すぐに釣りに行きたくなる。」

そんな、釣りへの情熱とワクワクを読者の皆様にお届けすることを目指しています。

目次