ブリ養殖とは?生産量日本一の県や陸上養殖への挑戦、課題を解説
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ブリは、日本人にとって最も身近な魚の一つです。
刺身や寿司、照り焼き、しゃぶしゃぶなど幅広い料理で親しまれていますが、現在市場に流通するブリの多くは養殖によって生産されています。
特に鹿児島県や愛媛県では全国トップクラスのブリ養殖が行われており、日本の水産業を支える重要な産業となっています。
一方で、モジャコ(天然種苗)の確保や高水温、赤潮など、養殖ならではの課題も抱えています。
この記事では、ブリ養殖の仕組みや主要産地、生産方法、最新技術、将来性まで分かりやすく解説します。
まず読みたい:養殖システムの全体像
目次
ブリ養殖とは?
ブリ養殖とは、天然または人工的に確保した稚魚(種苗)を海上のいけすなどで育て、出荷サイズまで成長させる養殖方法です。
日本では海面養殖が主流であり、世界でもトップクラスの生産技術を持っています。
令和7年の実績と同じとの考えで求めた、令和8年の予測輸出量は、29千トンとなった
日本産ブリの海外輸出拡大に向けたロードマップや最新の需給動向については、水産庁の養殖ブリの輸出の予測(公式発表)においてデータが公開されています。
参照:水産庁|養殖ブリの輸出の予測
ブリ養殖の仕組み
ブリ養殖では、春から初夏にかけて採捕される「モジャコ」と呼ばれるブリの稚魚を育成する方法が現在も主流です。
採捕したモジャコを海上のいけすへ移し、成長段階に合わせて配合飼料や生餌を与えながら約1年半〜2年かけて出荷サイズまで育てます。
近年では人工種苗や完全養殖の研究も進み、天然資源への依存を減らす取り組みが加速しています。
ブリ養殖が盛んな理由
ブリは成長が早く、餌をよく食べるため、生産効率が高い魚種です。
また、日本国内での需要が非常に高いだけでなく、近年は海外で日本産ブリへの評価が高まり、輸出量も年々増加しています。
比較的ブランド化しやすい魚であることも、養殖が盛んな理由の一つです。
天然ブリとの違い
天然ブリは回遊しながら成長するため、身が引き締まり、季節によって脂の乗りが大きく変化します。
一方、養殖ブリは管理された環境で十分な餌を与えられるため、一年を通じて脂の乗りが安定しています。
品質やサイズをそろえやすく、年間を通じて安定供給できる点が養殖ブリの大きな強みです。
データで見るブリ養殖の現状
ブリ養殖は、日本の養殖業を代表する魚種として高い生産量を誇っています。
日本の養殖業を支えるブリ養殖
マダイやカンパチと並び、ブリは日本の海面養殖を支える代表的な魚種です。
国内の養殖生産額に占める割合も大きく、多くの地域経済を支える重要な産業となっています。
また、海外では「Japanese Yellowtail」として人気が高まり、輸出向けの需要も拡大しています。

生産量日本一の鹿児島県と主な産地
ブリ養殖で全国トップクラスの生産量を誇るのが鹿児島県です。
錦江湾や志布志湾など波が穏やかな海域に恵まれ、大規模な養殖が行われています。
次いで愛媛県、大分県、長崎県などが主要産地として知られています。
宇和海など主要な養殖海域の特徴
愛媛県の宇和海はリアス海岸特有の入り組んだ地形により、波が穏やかで潮通しも良く、ブリ養殖に適した環境です。
鹿児島県や長崎県も豊かな海流と安定した水温を生かした高品質なブリ養殖が行われています。
| 産地 | 特徴 | 主なブランド | 周辺の主な釣りスタイル |
|---|---|---|---|
| 鹿児島県 | 生産量日本一・大規模養殖 | 桜勘・鰤王など | 錦江湾でのオフショアジギング・タイラバ |
| 愛媛県 | 宇和海の好環境 | 戸島一番ブリ・媛ぶりなど | 宇和海でのライトジギング・ショアジギング |
| 大分県 | 豊後水道の速い潮流 | かぼすブリなど | 豊後水道での激流ジギング(青物大物狙い) |
| 長崎県 | 島しょ部が多く漁場に恵まれる | 長崎ハーブ鰤など | 平戸・五島周辺でのショア・オフショアジギング |
ブリ養殖の方法
ブリ養殖では種苗の確保から出荷まで、約2年近い時間をかけて丁寧に育成されます。
モジャコ(天然種苗)から育てる方法
現在も多くの養殖場では天然のモジャコを採捕して育成しています。
モジャコは春頃に黒潮へ流れてくる流れ藻の周辺に集まる習性があり、それを採捕して養殖場へ運びます。
この方法は安定した成長が期待できる一方で、天然資源への依存という課題があります。
2~5月に生まれた稚魚はモジャコと呼ばれ、体長2センチ程度になると流れ藻などの周囲につく習性を持つようになります。そして流れ藻とともに海流( 黒潮または対馬暖流)に流されながら、日本の沿岸域に到着するのです。
参照:水産研究・教育機構|ブリからはじまる
人工種苗・完全養殖への取り組み
近年は人工種苗や完全養殖技術の研究が進められています。
人工的に採卵・ふ化したブリを育成することで、天然モジャコへの依存を減らし、持続可能な養殖を実現することが期待されています。
出荷までにかかる期間
一般的にモジャコから出荷サイズになるまで約18〜24か月程度かかります。
この間に十分な栄養を与えながら品質の高いブリへ育てていきます。
エサや給餌方法
現在は魚粉を主原料とした配合飼料(EP飼料)が主流です。
最近ではAIを活用した自動給餌システムも普及し始めており、魚の食欲に応じて最適な量を与えることで餌のロスを減らしています。
ブリ養殖のメリット
天然物より脂の乗りが良く品質が安定する
養殖ブリは栄養バランスの取れた餌で育つため、年間を通して脂の乗りが安定しています。
刺身や寿司などでも品質のばらつきが少なく、高い評価を受けています。
年間を通じて安定供給できる
天然ブリは漁獲量が季節や海況に左右されますが、養殖では計画的に出荷できるため、価格や供給が安定します。
飲食店やスーパーにとっても安定した仕入れが可能になります。
ブランド化による高付加価値化
餌や育成方法を工夫することでブランドブリとして販売でき、高付加価値化が図れます。
近年では地域ブランドのブリが全国で増えています。
海外輸出との相性が良い
品質が安定した養殖ブリは海外市場でも人気が高く、日本産ブランド魚として北米やアジアへの輸出が拡大しています。
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CAST編集部の一言アドバイス
養殖技術の向上により1年中美味しいブリが食べられるようになりましたが、やはりアングラー(釣り人)にとって最大のロマンは「巨大な天然ブリを自分の竿で釣り上げること」です。ブランドブリの産地としても有名な鹿児島や愛媛、大分の海(豊後水道など)は、まさに大型のブリ(青物)が狙える超一級の釣りポイントでもあります。
ブリ養殖の課題
モジャコや飼料価格の高騰
天然モジャコの確保が難しくなっていることに加え、配合飼料価格も年々上昇しています。
生産コストの増加は養殖業者にとって大きな課題です。
燃油・配合飼料の価格が、一定の基準を超えて上昇した場合に、漁業者や養殖. 業者に対し、補塡金が支払われます。
近年の世界的な魚粉価格の高騰に対する国の財政支援策や予算規模については、水産庁の令和8年度養殖関連予算の概要(公式ページ)において具体的な支援スキームが明記されています。
参照:水産研究・教育機構|令和8年度 養殖関連予算の概要
赤潮・高水温・病気による大量へい死リスク
近年は高水温や赤潮による大量へい死が全国で問題となっています。
さらに感染症の発生も経営リスクとなるため、日常的な水質管理が欠かせません。
人手不足と後継者不足
漁業全体と同様に養殖業でも担い手不足が深刻化しています。
若手人材の確保や省力化技術の導入が求められています。
気候変動への対応
海水温の上昇や大型台風の増加は、今後のブリ養殖にも大きな影響を与えると考えられています。
気候変動に対応した養殖技術の開発が急務となっています。
最新のブリ養殖技術
完全養殖への挑戦
人工種苗による完全養殖の研究が進み、天然モジャコへの依存を減らす取り組みが進められています。
持続可能な水産業を実現するための重要な技術として期待されています。
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閉鎖循環式の陸上養殖では、水温や水質を細かく管理できるため、自然災害や赤潮の影響を受けにくくなります。
ブランドブリの新たな生産方法として注目されています。
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AI・IoTを活用したスマート養殖
AIによる給餌管理やIoTセンサーによる水質監視など、スマート養殖が急速に普及しています。
餌の削減や生産効率向上、人手不足対策にも大きく貢献しています。
持続可能な養殖への取り組み
環境負荷を抑えるEP飼料や、ASC認証・MEL認証などの取得も進み、持続可能な養殖への取り組みが全国で広がっています。
ブリ養殖の将来性
日本産ブリは海外市場でも評価が高く、今後さらに需要の拡大が期待されています。
海外市場で拡大するハマチ需要
北米やアジアでは寿司文化の広がりにより、日本産ブリの人気が高まっています。
品質の安定した養殖ブリは輸出との相性が非常に良く、今後も市場拡大が見込まれます。
ASC認証・MEL認証の重要性
海外では環境や社会に配慮した認証を取得した水産物の需要が高まっています。
ASC認証やMEL認証は、輸出競争力を高める重要な要素となっています。
日本のブリ養殖が期待される理由
長年培われた養殖技術と高い品質管理能力を持つ日本は、世界でもトップクラスのブリ養殖国です。
AIや完全養殖など新技術との融合により、今後も世界市場で競争力を維持すると期待されています。
まとめ
ブリ養殖は、日本の養殖業を代表する重要な産業であり、特に鹿児島県や愛媛県を中心に高品質なブリが生産されています。
天然ブリに比べて品質や供給が安定している一方、モジャコの確保や高水温、赤潮、人手不足などの課題も抱えています。
しかし近年は完全養殖や陸上養殖、AI・IoTを活用したスマート養殖が進展しており、より持続可能で安定したブリ養殖への転換が進んでいます。今後も日本のブリ養殖は、国内だけでなく海外市場でも重要な役割を果たしていくでしょう。

