アカザエビ

フレンチやイタリアンでスキャンピやラングスティーヌと呼ばれ、高級食材として扱われているアカザエビ。鮮やかなオレンジ色の体と体長と同じくらい長いハサミ脚が特徴的な深海のエビです。その身は伊勢海老よりも甘みが強く、ねっとりと舌に絡みつくような食感はエビの中でもトップクラスの美味しさを誇ります。植物のアカザの葉のように赤いことや棘が多いことが名前の由来とされていますが、市場では単にテナガエビと呼ばれることもあります。洋食のイメージが強いですが、日本の駿河湾や相模湾などの深海に生息しており、刺身や味噌汁といった和食でもその実力を遺憾なく発揮するこのエビの魅力や、川にいるテナガエビとの違い、そしてハサミまで味わい尽くす料理について解説します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | 十脚目アカザエビ科アカザエビ属 |
| 標準和名 | アカザエビ |
| 漢字 | 藜海老 |
| 別名 | テナガエビ(市場名)、スキャンピ |
| 学名 | Metanephrops japonicus |
| 英名 | Japanese lobster / Scampi |
| 季節 | 秋から春 |
| 生息域 | 太平洋岸(千葉県から日向灘)、水深200m〜400mの砂泥底 |
アカザエビとは
アカザエビは日本の太平洋側の水深200メートルから400メートル付近の深海に生息するアカザエビ科のエビです。
分類上はザリガニやロブスター(オマール海老)に近い仲間であり、非常に硬い殻に覆われています。
標準和名のアカザエビは、体色が植物のアカザ(藜)の若葉にある赤い粉の色に似ていることや、殻にある棘がアカザの葉を連想させることに由来すると言われています。
底引き網漁で捕獲されますが、水揚げ量が少ないため高級魚として取引され、料亭や高級レストランなどで消費されることがほとんどです。
ヨーロッパで愛されているラングスティーヌ(ノルウェーアカザエビ)の近縁種であり、日本でもイタリア料理店などではスキャンピというメニュー名で提供されることが多いです。
アカザエビの特徴
体長は20センチメートル前後ですが、細長いハサミ脚を含めるとその倍近くの長さになります。
全身が鮮やかな朱色やオレンジ色をしており、茹でる前から赤いのが特徴です。
甲羅は非常に硬く、頭胸部や腹部には鋭い棘が並んでいるため、素手で扱う際は怪我をしないように注意が必要です。
最大の特徴である長いハサミ脚は、右と左で大きさが異なることが多く、威嚇や闘争に使われます。
身は水分を多く含んでいて非常に柔らかく、とろけるような甘みを持っています。
川のテナガエビとの違い
市場や産地では「テナガエビ」という名前で売られていることがよくありますが、川や湖にいるテナガエビとは全くの別物です。
生息域と分類
川のテナガエビは淡水または汽水域に生息するテナガエビ科のエビで、体長は10センチメートル程度と小さいです。
一方、アカザエビは深海に生息するアカザエビ科(ロブスターの仲間)の大型エビです。
味と用途
川のテナガエビは素揚げや佃煮にして殻ごと食べることが多いですが、アカザエビは殻が硬すぎて食べられず、中の身を刺身やソテーにして食べます。
価格もアカザエビの方が圧倒的に高く、贈答用やハレの日の食材として扱われます。
アカザエビの料理
加熱すると殻から良い出汁が出ますが、鮮度が良ければまずは生食でその甘みを体験することをおすすめします。
刺身
アカザエビの真骨頂は、ねっとりとした濃厚な甘みです。
伊勢海老がプリプリとした弾力を楽しむエビだとすれば、アカザエビはとろけるような食感と強烈な甘みを楽しむエビです。
口に入れた瞬間に甘みが広がり、醤油がいらないほどです。
グリル・ソテー(鬼殻焼き)
殻付きのまま半分に割り、塩を振って焼く鬼殻焼きや、バターでソテーする方法も人気です。
焼くことで殻の香ばしさが身に移り、甘みが一層引き立ちます。
ハーブやニンニクと一緒に炒めれば、本格的な地中海料理になります。
味噌汁
頭や殻からは非常に濃厚で上品な出汁が出ます。
刺身にした後の頭を捨てずに味噌汁にすると、高級料亭のような味わいになります。
カニの味噌汁に近いような、深みのあるコクを楽しめます。
まとめ
アカザエビは、長いハサミと赤い鎧をまとった深海の貴公子です。和食では刺身として、洋食ではスキャンピとして、世界中の美食家を魅了し続けています。川のテナガエビとは違う深海の甘みは、一度食べたら忘れられないほどのインパクトを持っています。もし特別な日のディナーや旅先の市場でこの赤いエビに出会ったら、その優雅な姿と極上の味をぜひ堪能してください。
アカザエビに関するよくある質問
ハサミの中身は食べられますか
はい、食べられます。
ハサミ脚の中にも身が詰まっており、胴体の身と同じように甘くて美味しいです。
ただし、殻が非常に硬くて細長いため、取り出すのが少し大変です。
キッチンバサミで殻を割るか、味噌汁に入れて出汁として活用し、その後にほじくって食べるのが一般的です。
旬はいつですか
産地によって漁期が異なりますが、一般的には水温が下がる秋から春にかけてが旬とされています。
底引き網漁が行われる期間(9月から翌年5月頃)に水揚げされます。
特に冬場の寒い時期は身が締まり、甘みが強くなります。
スキャンピとラングスティーヌは同じですか
厳密には、スキャンピはイタリア語、ラングスティーヌはフランス語で、どちらもアカザエビ(またはその近縁種のノルウェーアカザエビ)を指します。
日本ではアカザエビのことを指してこれらの名前を使うことが一般的ですが、輸入物の冷凍エビ(手長エビ)をスキャンピとして提供している場合もあります。
国産のアカザエビを使った料理は、メニューに「アカザエビ」や「国産手長海老」と明記されていることが多いです。































