ミミイカ

胴体の左右についた丸いヒレがまるで動物の耳のように見えることからその名が付けられたミミイカ。体長数センチメートルの小さなイカですが、その愛らしい姿から「海のミッキーマウス」とも呼ばれ、ダイバーや水族館で人気者となっています。見た目の可愛さだけでなく味も一級品であり、特に瀬戸内海沿岸では春を告げる食材として古くから親しまれてきました。茹でると中に詰まったモチモチとした卵や濃厚なイカ墨が絶妙な食感を生み出し、酒の肴としてこの上ない存在感を発揮します。砂に潜るユニークな生態や、体の中に発光バクテリアを飼っている秘密、そして丸ごと食べる際の美味しい調理法について解説します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | 頭足綱ダンゴイカ目ダンゴイカ科ミミイカ属 |
| 標準和名 | ミミイカ |
| 漢字 | 耳烏賊 |
| 別名 | ダンゴイカ(混称)、チビイカ |
| 学名 | Euprymna morsei |
| 英名 | Mimika bobtail squid |
| 季節 | 春(2月〜5月) |
| 生息域 | 日本各地の沿岸、水深数百mまでの砂泥底 |
ミミイカとは
ミミイカは日本各地の沿岸部に生息するダンゴイカ科の小型のイカです。
特に瀬戸内海や三河湾などで多く水揚げされ、春の訪れとともに鮮魚コーナーに並びます。
名前の由来は、胴体の側面にある半円形のヒレが「耳」のように見えることにあります。
普段は海底の砂や泥の中に潜って目だけを出して獲物を待ち伏せたり、敵から身を隠したりしています。
危険を感じると大量の墨を吐いて逃げるため、水揚げされた直後のミミイカは墨まみれになっていることが多いです。
市場では近縁種のダンゴイカと区別されずに売られることもありますが、どちらも非常に美味な惣菜用のイカとして重宝されています。
ミミイカの特徴
体長は成体でも3センチメートルから5センチメートルほどと非常に小さいです。
体は全体的に丸みを帯びており、一般的なスルメイカのような尖った形ではなく、丸い団子のような形をしています。
最大の特徴である耳(ヒレ)をパタパタと動かして泳ぐ姿は非常にコミカルで愛嬌があります。
また、ミミイカは発光能力を持っていますが、ホタルイカのように自力で光るのではなく、体内の「発光器」の中に発光バクテリアを共生させて光っています。
この光を使って海底で自分の影を消し、下から見上げる敵に見つからないようにする「カウンターシェーディング」という技を使います。
オスとメスでは吸盤の並び方などに違いがありますが、食べる分には味に大きな差はありません。
海のミッキーマウス
そのシルエットはまさに国民的キャラクター「ミッキーマウス」を彷彿とさせます。
正面から見ると黒くて大きな目と、頭(胴体)の上についた丸い耳(ヒレ)のバランスが絶妙で、ダイバーたちの間ではアイドル的な存在として扱われています。
砂の中からひょっこりと顔を出している様子や、短い足を広げて威嚇するポーズは写真被写体としても人気があります。
しかし、食用としてスーパーに並ぶ際は墨で真っ黒になっていることが多く、その可愛い姿を確認するには丁寧に洗う必要があります。
ミミイカの料理
ミミイカの醍醐味は、内臓ごと食べた時の濃厚な味わいと独特の食感にあります。下処理は目玉とクチバシ(カラス)を取る程度で、基本的には丸ごと調理します。
塩茹で
ミミイカの最もポピュラーな食べ方です。
沸騰したお湯でサッと茹でると、茶色っぽい体が鮮やかな赤紫色に変わります。
中にある墨が固まり、ねっとりとした食感とコクのある旨味を生み出します。
子持ち(卵を持ったメス)の場合は、卵のモチモチ感が加わり、米粒が入っているかのような食感を楽しめます。
酢味噌や生姜醤油で食べると最高です。
煮付け
醤油、酒、みりん、砂糖で甘辛く煮付けます。
イカの出汁と内臓の旨味が煮汁に溶け出し、濃厚な味わいになります。
冷めても硬くなりにくいため、お弁当のおかずや常備菜としても優秀です。
白いご飯に乗せれば、何杯でも食べられる「ミミイカ丼」になります。
唐揚げ・天ぷら
水分をよく拭き取ってから衣をつけて揚げます。
外はカリッと、中はフワフワ・トロトロの食感になります。
揚げたての熱々を頬張ると、口の中で熱い墨が弾けることがあるので注意が必要ですが、ビールのお供には最適です。
まとめ
ミミイカは、その愛らしい「耳」と小さな体の中に、春の海の旨味をたっぷりと詰め込んだイカです。見た目はマスコットキャラクターのようですが、食材としての実力は非常に高く、特に内臓のねっとりとした甘みは他のイカでは味わえない特別なものです。春先にスーパーで墨まみれの小さなイカを見かけたら、ぜひその可愛い耳を確認しながら、旬の味覚を味わってみてください。
ミミイカに関するよくある質問
墨は取らなくていいのですか
ミミイカの墨は旨味の塊であり、基本的には取らずにそのまま食べます。
茹でたり煮たりすることで墨が固まり、独特のコクとなります。
ただし、墨袋が破れると料理全体が真っ黒になってしまうため、見た目を気にする場合は優しく洗って墨を落とすか、煮汁を濃くして目立たないようにするのが一般的です。
食べた際はお歯黒(口の中が黒くなる)になるので注意してください。
砂抜きは必要ですか
ミミイカは砂泥底に潜る習性があるため、砂を噛んでいることがあります。
アサリのような砂抜きはできませんが、調理前にボウルの中で水を換えながらよく洗い、ヌメリと汚れを落とすことが重要です。
胴体の中に砂が入っていることは稀ですが、吸盤の周りなどに泥がついていることがあるので念入りに洗ってください。
骨(軟甲)はありますか
イカの仲間なので、胴体の中に透明で薄いプラスチックのような骨(軟甲)が入っています。
非常に小さくて柔らかいため、気にせずそのまま食べてしまう人も多いですが、口触りが気になる場合は調理後や食べる時に指でつまんで引き抜くと簡単に取れます。































