イカ

刺身、寿司、焼き物、煮物、天ぷら、そして酒の肴の王様「塩辛」や「スルメ」まで。日本の食卓において、これほど愛され、食べ尽くされている魚介類は他にないかもしれません。世界中のイカ消費量の約半分を日本人が食べているとも言われるほど、私たちにとっては馴染み深い食材です。10本の腕とロケットのような体、そして敵を欺く「墨」。エイリアンのような不思議な見た目でありながら、噛めば噛むほど味が出る、日本人のソウルフード「イカ」について解説します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | 頭足綱(イカ綱)十腕形上目 |
| 漢字 | 烏賊(カラスを捕まえる賊?)、鰞 |
| 数え方 | 杯(はい)、匹、本 |
| 英名 | Squid / Cuttlefish(コウイカ類) |
| 種類 | スルメイカ、ヤリイカ、アオリイカ、コウイカ、ホタルイカなど |
| 季節 | 種類による(通年美味しいイカがいる) |
イカとは
イカは、タコと同じ「頭足類(とうそくるい)」の仲間です。
世界中に約450〜500種類が生息しており、その大きさは数センチの「ヒメイカ」から、体長10メートルを超える伝説の怪物「ダイオウイカ」まで様々です。
最大の特徴は、**10本の腕(足)です。そのうち2本は「触腕(しょくわん)」と呼ばれ、獲物を捕まえるために長く伸ばすことができます(普段は隠している種類もいます)。 漏斗(ろうと)から海水を噴射してジェット推進で泳ぎ、危険を感じると「墨」**を吐いてダミーを作り、敵の目をくらませて逃げます。
心臓が3つあり、血液が青い(銅を含むヘモシアニン)という、生物学的にも非常にユニークな特徴を持っています。
名前の由来:「カラスを食べる賊」?
漢字で**「烏賊」と書くのはなぜでしょうか。 中国の古い言い伝えに、「イカは海面に浮かんで死んだふりをし、それを突きに来たカラス(烏)を逆に長い腕で巻き取って食べてしまう」という話があります。 そこから、「カラス(烏)にとっての賊(敵)」=「烏賊」**という字が当てられたと言われています。
日本の主なイカ 5選
日本でよく食べられている代表的なイカを紹介します。
- スルメイカ(真イカ)
日本のイカ漁獲量の大部分を占める、最もポピュラーなイカ。
刺身、塩辛、イカ焼き、そしてスルメ(干物)と、あらゆる料理に使われます。肝(ワタ)が大きくて美味です。 - ヤリイカ(槍烏賊)
体が細長く、槍のように見えるイカ。冬から春が旬。
身が薄くて柔らかく、上品な甘みがあります。高級な刺身や寿司ネタになります。 - アオリイカ(障泥烏賊)
**「イカの王様」**と呼ばれます。
身が分厚く、ねっとりとした食感と強烈な甘みが特徴。高級寿司店で扱われます。 - コウイカ(甲イカ・スミイカ)
背中に舟形の大きな骨(甲)を持っています。
身が厚くて歯切れが良く、天ぷらや寿司に最適です。墨を大量に持っています。 - ホタルイカ(蛍烏賊)
富山湾の春の風物詩。
青白く発光する小さなイカで、茹でて酢味噌で食べたり、沖漬けにしたりします。内臓ごと食べる濃厚な味が魅力です。
食材としての評価:タウリンの宝庫
イカは「高タンパク・低脂肪」のヘルシー食材です。
特筆すべきは、栄養ドリンクなどでおなじみの**「タウリン」が非常に豊富なこと。 タウリンには、肝機能を高めたり、コレステロールを下げたり、疲労回復を助ける効果があります。 かつて「イカはコレステロールが高いから体に悪い」と言われた時期がありましたが、イカに含まれるタウリンがコレステロールを下げる働きをするため、現在では「むしろ食べたほうが良い健康食材」**として再評価されています。
【⚠️ アニサキスに注意】
生のイカには、寄生虫のアニサキスが付着していることがあります。
身が白いため見つけにくいですが、生食する場合は「細かく飾り包丁を入れる」「細切り(イカそうめん)にする」「一度冷凍する」「よく噛む」などの対策が有効です。
イカの料理
どんな調理法でも美味しくなる万能選手です。
刺身・イカそうめん
新鮮なイカの透き通った身は、コリコリとした食感と甘みが楽しめます。
アニサキス対策も兼ねて細く切った「イカそうめん」は、つゆや醤油でツルッといただきます。
種類によって「コリコリ系(スルメ・ヤリ)」と「ねっとり系(アオリ・モンゴウ)」に分かれます。
イカ焼き(姿焼き)
お祭り屋台の定番。
醤油が焦げる香ばしい匂いは食欲をそそります。
マヨネーズと七味唐辛子をつけると最強です。
イカの塩辛
新鮮な身と、濃厚な肝(ワタ)を塩で漬け込んだ保存食。
ご飯のお供としても、日本酒のアテとしても最高傑作の一つです。
家庭で作る場合は、アニサキス対策として一度冷凍したイカを使うのが安全です。
天ぷら・フライ
加熱すると甘みが増し、柔らかくなります。
油跳ねを防ぐために、皮をしっかり剥くか、隠し包丁を入れるのがコツです。
まとめ
イカは、日本の食文化を支える「足が10本のヒーロー」です。高級な寿司ネタから、駄菓子のスルメまで、その活躍の場は無限大。種類によって季節や味わいが全く違うので、スーパーでイカを見かけたら「これは今日はどうやって食べようかな?」と、その種類の個性に合わせた料理を楽しんでみてください。
イカに関するよくある質問
タコとイカの違いは?
一番の違いは「腕の数」です。タコは8本、イカは10本です。
また、タコは岩場の隙間などに定着する生活を好みますが、イカは海中を泳ぎ回る生活を好むものが多いです。
吸盤にも違いがあり、タコの吸盤は筋肉だけですが、イカの吸盤には**「角質環(かくしつかん)」**という硬いギザギザのリングが付いています。
イカの数え方はなぜ「杯(はい)」?
イカの体が、水や酒を入れる**「杯(さかずき)」**や壺のような形をしていることに由来すると言われます。
生きている時は「1匹」、商品になると「1杯」、干すと「1枚」と数え方が変わることもあります。
イカ墨は食べられますか?
はい、食べられます。
パスタやリゾットに使われます。タコ墨よりもアミノ酸(旨味成分)が多く、粘り気があって料理に絡みやすいため、食用としてはイカ墨のほうが優秀です。































