アラ
当ページのリンクには広告が含まれています。

0人が参考になった
幻の魚という言葉がこれほど似合う魚は他にはいないでしょう。標準和名のアラはスズキ目ハタ科に属する大型の肉食魚です。九州地方の大相撲九州場所で優勝力士に贈られるアラは実はクエのことですが本種のアラもそれに勝るとも劣らない食味と希少価値を誇ります。深海に潜むこの孤高のターゲットは釣り人にとって一生に一度は釣ってみたい憧れの存在です。鋭いエラ蓋と金属的な輝きを持つ魚体の美しさは見る者を圧倒します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | スズキ目ハタ科アラ属 |
| 標準和名 | アラ |
| 漢字 | 𩺊 |
| 別名 | オキスズキ、コアラ(小型魚)、タラ(一部地域) |
| 学名 | Niphon spinosus |
| 英名 | Saw-edged perch |
| 季節 | 秋から冬 |
| 生息域 | 本州中部以南の深場の岩礁帯 |
目次
アラとは
アラは本州中部からフィリピンにかけての太平洋沿岸に分布する深海性の魚です。
かつては独立したアラ科とされていましたが現在はハタ科に含まれることが一般的です。
最も注意が必要なのは名前の混同です。九州地方特に福岡県や佐賀県ではハタ科のクエのことをアラと呼びます。そのため高級食材としてのアラ鍋というと九州ではクエ鍋を指すことが多いのですが標準和名のアラは全く別の魚種です。
市場に入荷することは極めて稀で料亭や高級寿司店に直行するため一般のスーパーに並ぶことはまずありません。キロ単価が数万円になることもある超高級魚です。
アラの特徴
成魚は全長1メートル体重10キログラムを超えます。体はスズキに似て細長く側扁していますがより体高がありガッシリとしています。
最大の特徴はエラ蓋にある鋭いトゲです。下側のトゲが非常に大きくノコギリの刃のようにギザギザしています。英名のSaw-edged perch(ノコギリの刃を持つスズキ)もここに由来します。素手で触るとスパッと切れるほど危険なので取り扱いには注意が必要です。
体色は背中側が褐色で腹側は白く金属的な光沢があります。幼魚のうちは体側に暗褐色の縦縞がはっきりと入っていますが成長とともに薄くなり老成魚ではほぼ消失して全体的に灰褐色になります。
アラの生態とライフサイクル
食性は完全な肉食性です。水深70メートルから300メートル以深の大陸棚斜面や岩礁帯に生息しイカや小魚甲殻類を捕食しています。
ハタ科の魚ですがクエなどのように海底の穴に定着する性質はそれほど強くなく餌を求めて回遊することもあります。
成長は比較的遅く大型になるまでには長い年月を要します。繁殖生態については深海魚ゆえに不明な点も多いですが寿命は長く長期間にわたって生態系の頂点に位置し続けます。
アラの分布と生息環境
日本近海では相模湾から九州にかけての太平洋沿岸や日本海の一部に分布しています。
特に黒潮の影響を受ける暖かい海域を好みます。成魚は深い場所を好みますが幼魚は比較的浅い岩場や定置網に入ることもあります。
海底の起伏が激しい岩礁帯や急激に落ち込むカケアガリ(斜面)が主なポイントとなります。
アラの釣り方
泳がせ釣り・深海釣り
水深100メートル以上の深場を狙うため大型の電動リールと頑丈な竿が必要となるヘビータックルでの釣りが基本です。
餌には生きたヤリイカやスルメイカあるいはサバなどを丸ごと使用します。海底の起伏が激しい場所を攻めるため根掛かりとの戦いになります。オモリが底に着いたらすぐに底を切りタナ(泳層)を探ります。アタリがあったら即座に合わせを入れ根に潜られないように強引に巻き上げることが重要です。
深海スロージギング
近年人気が高まっているのがスロージギングによる攻略です。300グラムから500グラム以上の重いメタルジグを使用します。
フォール(沈下)アクションに反応が良いためジグを大きく持ち上げてからヒラヒラと落とす誘いを繰り返します。餌釣りに比べて手返しが良くより広範囲を探れる利点があります。
アラの料理
刺身・薄造り
新鮮なアラの身は透明感のある白身でほんのりと桜色を帯びています。
適度な歯ごたえと上品な脂の甘みがあり噛めば噛むほど旨味が溢れ出します。フグのように薄造りにしてポン酢ともみじおろしで食べるとその繊細な味わいが際立ちます。数日寝かせて熟成させるとさらに旨味が増しねっとりとした食感に変わります。
アラ鍋(ちり鍋)
骨や頭からは非常に濃厚で上質な出汁が出ます。
身は加熱するとホクホクとした食感になり皮目のゼラチン質が溶け出してとろけるような美味しさになります。クエ鍋と並び称される冬の味覚の王様です。締めの雑炊は全ての旨味を吸い込んでおり言葉を失うほどの美味です。
兜煮・潮汁
頭部は食べるところが多く特に目の周りや唇のプルプルとした部分はコラーゲンの塊です。
甘辛く煮付けると濃厚な味になり酒の肴に最適です。また塩だけで味付けした潮汁にするとアラ本来の出汁の良さをダイレクトに楽しむことができます。
まとめ
標準和名のアラはクエの影に隠れがちですがその実力は勝るとも劣らない本物の高級魚です。深海の岩場に潜むこの魚を釣り上げることは釣り人にとって最高の栄誉の一つと言えるでしょう。もし運良く手に入れたなら刺身から鍋まで余すことなくその身を堪能し幻の魚と呼ばれる理由を舌で確かめてみてください。
アラに関するよくある質問
クエとの見分け方は
標準和名のアラは体が細長くエラ蓋に鋭い大きなトゲがあります。また幼魚には縦縞があります。一方クエ(九州で言うアラ)は体が太く丸みを帯びており体側に不規則な横縞模様があります。顔つきもクエの方が厳つくアラはスズキに似てスマートです。
旬はいつですか
一般的には冬が旬とされています。冬場は脂が乗り鍋料理などに最適だからです。しかし夏場でも極端に味が落ちることはなく年間を通して美味しく食べられる魚です。特に産卵前の初夏も脂が乗って美味しいという意見もあります。
養殖はされていますか
クエの養殖は進んでいますが本種である標準和名のアラの養殖はほとんど行われていません。成長が遅く深海魚であるため飼育環境の維持が難しいことが理由と考えられます。そのため流通しているアラのほぼ全てが天然物でありこれが希少価値と価格を高める要因となっています。
この記事はいかがでしたか?
