クマエビ

クルマエビに似た立派な姿をしていながら、足(歩脚)や長いヒゲが紅白の縞模様で彩られた美しいエビ、それがクマエビです。市場やスーパー、あるいは寿司店では、標準和名のクマエビよりも**「アシアカ(足赤)」**という名前で呼ばれることの方が多いかもしれません。輸入のブラックタイガー(ウシエビ)と混同されがちですが、こちらは主に日本国内で水揚げされる天然物が多く、味は「クルマエビに匹敵する」と言われるほど濃厚な甘みを持っています。加熱すると鮮やかな赤色になるため、お祝いの席や天ぷら種としても重宝される、知る人ぞ知る実力派のエビについて解説します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | 十脚目クルマエビ科ウシエビ属 |
| 標準和名 | クマエビ |
| 漢字 | 熊海老 |
| 別名 | アシアカ(足赤)、アカアシ、クマ |
| 学名 | Penaeus semisulcatus |
| 英名 | Green tiger prawn |
| 季節 | 夏から秋(地域によるが、秋が旬とされることが多い) |
| 生息域 | 千葉県以南、インド・西太平洋の泥砂底 |
クマエビとは
クマエビは、クルマエビ科に属する大型のエビです。
体長は20センチメートルから25センチメートルほどになり、クルマエビやブラックタイガー(ウシエビ)に近い種類です。
体色は全体的に茶褐色や少し緑がかった灰色をしていますが、最大の特徴は名前の由来にもなっている**「足」と「ヒゲ」**です。
歩脚(歩くための足)と触角(ヒゲ)が、鮮やかな赤と白の縞模様になっています。
この特徴から、特に関西や西日本では「アシアカ(足赤エビ)」という名前で親しまれており、和歌山県や徳島県ではブランド食材として扱われています。
内湾の泥底を好み、夜行性で、昼間は砂泥の中に潜っています。
クルマエビ・ブラックタイガーとの違い
よく似ている3種類ですが、以下のポイントで見分けます。
【1. クルマエビ(車海老)】
- 特徴:体に明確な縞模様があり、丸まった時に「車輪」のように見える。
- 足の色:足は黄色っぽいか、青みがかっています。赤くはありません。
- 価格:最高級。
【2. ブラックタイガー(ウシエビ)】
- 特徴:全体的に黒っぽく、明確な黒と白の縞模様があります。
- 足の色:足は赤くなく、全体的に暗い色をしています。
- 流通:ほとんどが東南アジアからの輸入養殖物です。
【3. クマエビ(アシアカ)】
- 特徴:体は赤褐色〜茶緑色で、背中の縞模様はややぼやけています。
- 足の色:**足とヒゲが「赤と白の紅白模様」**です。これが決定的な違いです。
- 流通:国内の天然物が多く、輸入の「フラワーエビ」と呼ばれるものもこの一種です。
食材としての評価
味は極めて良く、料理人によっては「甘みに関してはクルマエビ以上」と評価することもあります。
身は繊維が太くてプリプリとした弾力があり、加熱した時の発色が非常に美しいのが特徴です。
クルマエビほど高価ではありませんが、ブラックタイガーよりは高値で取引される「準高級エビ」といった立ち位置です。
特に和歌山県の紀伊水道などで獲れる「アシアカエビ」は、徹底した鮮度管理が行われており、刺身でも食べられる高級品として人気があります。
クマエビの料理
加熱すると真っ赤になるため、見た目も華やかになります。
天ぷら・フライ
大きな身は揚げ物に最適です。
熱を通すことで甘みが活性化し、プリッとした食感が際立ちます。
尻尾の赤色が鮮やかなので、天ぷらにした時の見栄えが非常に良いです。
塩焼き・有頭エビのグリル
殻付きのまま焼くと、香ばしい香りと共に殻の旨味が身に移ります。
足の赤色がさらに鮮やかになり、食欲をそそります。
バーベキューの主役にもなれる大きさです。
塩茹で
おせち料理などで使われる「有頭エビの旨煮」などに向いています。
冷めても身が硬くなりすぎず、色が綺麗に出るので、祝いの席にぴったりです。
刺身
新鮮な活け締めのものであれば、刺身は絶品です。
クルマエビよりも少し柔らかく、ねっとりとした甘みを感じられます。
ただし、鮮度が落ちやすいので、刺身で食べる際は必ず生きているものか、刺身用として売られているものを選んでください。
まとめ
クマエビは、「アシアカ」の愛称で愛される、赤い靴下を履いたようなお洒落なエビです。クルマエビの陰に隠れがちですが、その甘みとボリューム感、そして加熱した時の美しさは一級品です。もし魚屋さんで、足が紅白の縞模様になっている大きなエビを見かけたら、それは間違いなく美味しいクマエビです。フライや塩焼きで、その弾けるような身の弾力を楽しんでみてください。
クマエビに関するよくある質問
名前が「熊」なのはなぜですか
諸説ありますが、体色が少し黒っぽく、剛毛(殻の表面の細かい毛)などから、動物のクマを連想したという説や、隈取り(くまどり)のような模様があるから、などの説があります。
しかし、一般的には別名の「アシアカ」の方が、見た目の特徴をよく表しており、通りが良いです。
ブラックタイガーとは別物ですか
はい、生物学的には同じ属(ウシエビ属)の近縁種ですが、別種です。
ブラックタイガー(ウシエビ)は主に養殖された輸入物が流通しますが、クマエビは国内の天然物が流通の主体です。
味もクマエビの方が甘みが強く、繊細であると評価されることが多いです。
殻は剥きやすいですか
はい、他のクルマエビ科のエビと同様に、加熱前でも加熱後でも殻は比較的剥きやすいです。
背わた(背中の黒い筋)には砂が入っていることがあるので、調理の際は竹串などで背わたを取り除くと、ジャリッとしません。































