ウバガイ

一般的にはホッキガイという名前で親しまれ回転寿司のネタや北海道の郷土料理として絶大な人気を誇るウバガイ。正式名称であるウバガイ(姥貝)という名は30年以上も生きるという驚異的な長寿であることや殻から出した身の姿が老婆を連想させることに由来すると言われています。生の足先は黒っぽい紫色をしていますが湯通しすると鮮やかな紅色に変わるのが特徴でその美しいグラデーションと強い甘みは冬の味覚の王様と呼ぶにふさわしい存在です。資源保護のために厳しい漁獲制限が設けられている北国の貴重な恵みであるこの貝の生態や美味しさの秘密について解説します。
| 項目 | 内容 |
| 分類 | マルスダレガイ目バカガイ科ウバガイ属 |
| 標準和名 | ウバガイ |
| 漢字 | 姥貝 |
| 別名 | ホッキガイ(北寄貝) |
| 学名 | Spisula sachalinensis |
| 英名 | Sakhalin surf clam |
| 季節 | 冬から春(12月から5月頃) |
| 生息域 | 北海道、東北地方の太平洋側の冷たい海 |
ウバガイとは
ウバガイは北海道や東北地方の冷たい海に生息するバカガイ科の大型の二枚貝です。
市場や一般家庭ではホッキガイ(北寄貝)という別名で呼ばれることがほとんどです。この名前には北から寄ってくる貝という意味が込められており北海道を代表する海産物の一つとして知られています。
標準和名のウバガイ(姥貝)は貝殻が古くなると皮が剥げて白くなる様子や身がシワシワに見えることあるいは非常に長生きすることから老婆に例えて名付けられました。
アイヌ語ではポクセイと呼ばれ古くから貴重なタンパク源として利用されてきました。現在では北海道苫小牧市が水揚げ量日本一を誇り市の貝にも指定されています。
ウバガイの特徴
殻長は10センチメートル前後になり大きいものでは13センチメートルを超え重厚で丸みを帯びた三角形をしています。
殻は非常に厚くて硬く表面は黒褐色の殻皮で覆われていますが成長とともに頂点付近の殻皮が剥がれて白くなることが多いです。
最大の特徴は食用となる足(斧足)の部分です。生の状態では足の先端が黒っぽい紫色や灰色をしていますが加熱すると鮮やかな紅色(ピンク色)に変色します。市販されているボイル済みのホッキガイが赤いのはこのためです。
寿命は非常に長く30年以上生きる個体も珍しくありません。
ウバガイの生態とライフサイクル
食性はプランクトン食性です。海底の砂の中に潜り入水管を海中に伸ばして海水を吸い込み植物プランクトンを濾し取って食べます。
水深数メートルから十数メートルの浅い海の砂泥底を好みます。
冷水性の貝であり水温の高い海域では生息できません。
産卵期は春から初夏にかけてです。成長は非常にゆっくりで漁獲サイズである殻長7.5センチメートルから9センチメートルになるまでに4年から6年ほどの歳月を要します。移動能力は低く一度潜った場所から大きく移動することはあまりありません。
ウバガイの分布と生息環境
日本での分布は北海道全域と茨城県以北の太平洋側日本海側の北部に見られます。
世界的にはサハリンやオホーツク海沿岸朝鮮半島北部などの寒冷な海域に分布しています。
外洋に面した潮通しの良い砂底を好み特に北海道の太平洋側である苫小牧や別海町福島県などが主要な産地として知られています。
ウバガイの漁法と資源管理
主に桁網(けたあみ)漁と呼ばれる漁法で海底の砂ごと貝を掘り起こして漁獲します。
その他にも噴流式桁網漁といって水圧で砂を掘って貝を浮かび上がらせる方法もあります。
成長が遅く長寿であるため乱獲されると資源が枯渇しやすい貝です。そのため各漁協では厳しい資源管理を行っています。殻長7.5センチメートル以下の小型貝の漁獲禁止や産卵期の禁漁区域ごとのローテーション操業(輪採制)などを徹底することで持続可能な漁業を実現しています。
ウバガイの料理
肉厚で柔らかく噛むほどに溢れ出す濃厚な甘みは貝類の中でもトップクラスです。この甘みの正体はグリコーゲンやアラニンなどの旨味成分です。
刺身・湯引き
新鮮なものは刺身が最高です。
生のままだと磯の香りが強く独特の食感を楽しめますがサッと湯通し(湯引き)することをおすすめします。熱を通すことで足先が鮮やかな赤色に変わり見た目が美しくなると同時に甘みが一層引き立ちます。コリコリとした歯ごたえとジューシーな旨味は絶品です。
ホッキ飯(炊き込みご飯)
宮城県や福島県の郷土料理として有名です。
貝の煮汁でご飯を炊き炊き上がる直前に身を混ぜ込みます。最初から身を入れて炊くと硬くなってしまうため後から入れるのがコツです。貝の旨味が染み込んだご飯は箸が止まらない美味しさです。
バター焼き・ソテー
肉厚な身は加熱しても縮みにくくバターとの相性が抜群です。
アスパラガスやキノコと一緒に炒め塩コショウと醤油で味付けします。火を通しすぎると硬くなるため強火で手早く調理するのがポイントです。
ホッキカレー
水揚げ量日本一の苫小牧市のご当地グルメです。
カレールーの具材としてホッキガイを贅沢に使います。貝の出汁がルーに溶け込みシーフードカレーの中でも特に濃厚で奥深い味わいになります。歯ごたえのある身がカレーのスパイスに負けない存在感を放ちます。
まとめ
ウバガイ(ホッキガイ)は北国の冷たい海が長い年月をかけて育て上げた海の宝石です。その名前の由来となった長寿にあやかり滋養強壮に良い食材としても親しまれています。生の色と加熱した色の変化は食卓を鮮やかに彩りその濃厚な甘みは食べた人を幸せな気分にさせてくれます。もしスーパーで黒っぽい紫色の貝を見かけたらそれは新鮮な証拠です。ぜひ自宅で湯引きをして鮮やかな赤色に変わる瞬間を楽しんでみてください。
ウバガイに関するよくある質問
黒い部分はどうすれば赤くなりますか
生の足先の黒っぽい紫色の部分は70度くらいのお湯に数秒から十数秒くぐらせるだけで鮮やかな赤色に変化します。加熱しすぎると身が硬くなってしまうため色が鮮やかになったらすぐに冷水に取って締めるのが美味しく食べるコツです。
砂出しは必要ですか
ウバガイはアサリのように砂を吸い込んでいることは少ないですが体内に砂や泥を含んでいることがあります。特にウロ(内臓)の中に砂や異物が入っていることが多いため調理の際は殻から身を外し足の中にある黒っぽいウロやヒモの汚れを包丁でしごき出してから水洗いして取り除く必要があります。
旬はいつですか
一般的に冬から春(12月から5月頃)が旬とされています。この時期は産卵に向けて栄養を蓄えているため身が肥厚しグリコーゲンが増えて甘みが強くなります。夏場は産卵後で身が痩せて味が落ちるため禁漁期間となる地域が多いです。































